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「到達したことのない領域に」投手・大谷翔平の『200イニング到達計画』とは?<エンゼルスのネビン監督も言及>

2023/07/06
今季の大谷が投手として明確に見据えているのが、エースの証とも言える200イニングを投げることだ。中5日の登板間隔が、後半戦は変わるかもしれない。

 200投球回。

 中4日でのローテーションが主流になった1980年以降、この数字は「エースの証」となった。シーズンは162試合。中4日でローテーションを守りきっても、先発機会は最大で33にしかならない。1番手もしくは2番手として、1年間を休みなく投げ切る必要がある。

 その上で平均6回でも到達できない(33×6=198)聖域、それが200投球回だ。エースたちは7回を投げ抜くことを自らに課し、1年間をフルに戦う。投球回数がサイ・ヤング賞の指標としても重要視される所以がここにある。

 6月4日。二刀流・大谷翔平を巡り、「200投球回」という言葉をメジャー6年目で初めて耳にした。口にしたのは、エンゼルスのフィル・ネビン監督だった。

「我々は翔平のキャリアで初めて200イニングを超える投球回数を今、見据えている。彼は今までに到達したことのない領域に近づこうとしている。そのために彼に1日多くの休みを与えることはいいことだと思った」

 降雨のため2回降板となった4月17日のレッドソックス戦後を除き、大谷は今季開幕から中5日での登板を守ってきた。その彼に1日余分な休養を与える決断を下した際の言葉だったが、トミー・ジョン手術から4年を経て、ようやく200投球回への挑戦権を手にしたのだ。

 トミー・ジョン手術のリハビリは術後だけではない。復帰後も実戦の中で打者に投げながら患部を強化し、耐久性を養ってきた。大谷が手術を受けたのは2018年10月。'19年は全休。'20年も右肘は充分な回復を見せず、登板はわずか2試合、投球回数は1回2/3。実戦でのリハビリが始まったのは'21年シーズンからだった。

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photograph by Yukihito Taguchi

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