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[第1戦 KEYMANインタビュー]山本由伸「6回1失点という“異変”」

2021/12/02

 18勝(5敗)、勝率.783、防御率は1.39、206奪三振――シーズン四冠で無双を誇った山本由伸は、CSファイナルステージ第1戦でマリーンズを相手にスミ1の完封、万全の状態で日本シリーズ第1戦の先発を託された……はずだった。しかし、この日の山本は不安に包まれていた。

「まあ、いろいろあったんですよ。体調面でちょっと問題が起きて……試合には何とか間に合ったんですけど、しっかりした“1週間”を過ごせていなかったので、思うようなピッチングができませんでした。やっぱり1週間、しっかり練習して、やっと試合でいいパフォーマンスが出せると思っているので、僕、試合の日だけ頑張る、とかはできないんです」

 山本が口にする“1週間”という言葉は、登板と登板の間に過ごす時間を指している。以前、山本がお立ち台でヒーローインタビューを受けたとき、「次の登板に向けて一言」と投げ掛けられて「次もしっかり勝てるよう、また1週間、頑張ります」と言った彼の言葉に驚かされた。「次の試合も頑張ります」と言うならわかる。山本は「1週間、頑張ります」と言ったのだ。勝った直後から次の登板に向かって準備を始めるローテーション投手のリアルがそこにあった。山本はこうも話していた。

「先発は1週間、きっちりと準備をしないといいピッチングはできません。その過ごし方はすごく気にしています。だからそういう言い方になったのかな……」

 CSの第1戦から日本シリーズ第1戦までの間隔は中9日あったのだが、その9日間も山本にとっては“1週間”となる。その1週間、山本は思うように過ごせなかった。彼自身は何があったのかを明かすことはなかったが、登板の3日前に体調を崩し、万全のはずだった調整に狂いが生じていた。その翌日にはブルペンに入って第1戦には間に合わせたものの、日本球界の“絶対エース”が思うようなピッチングをすることができなかったのは、そういう理由があったからだった。山本が続ける。

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photograph by Nanae Suzuki

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