<チームパシュートの期待の星たち> 4つの個性をひとつにして。 ~特集:バンクーバーに挑む~

 スピードスケート唯一のチーム種目、団体追い抜き。百戦錬磨の大ベテランに、短・長距離界のホープ2人、さらに“スーパー中学生”も切り札として加わった。精鋭4人が呼吸を合わせ、メダルを目指して疾走する。

 2006年、トリノ五輪女子団体追い抜きの3位決定戦。ロシアをリードしていた日本チームは残り500mで転倒、掴みかけていた銅メダルをふいにした。チーム全体として、フィニッシュまで滑りきる脚がなかったのだ。力不足を認めた日本女子チームは、この苦い記憶を糧に再び仕切りなおす。バンクーバー五輪に向けて着々と力をつけ、今シーズンのW杯では2位に入るなど、メダルが有力視されるまでチームの完成度は高まってきた。

 団体追い抜き(チームパシュート)は、スピードスケートで唯一の団体種目だ。前回のトリノ五輪から新たに採用されたばかりなので、一般にはあまり馴染みのない競技かも知れないが、そのルールはシンプルなものだ。

写真 '09年11月のW杯ヘーレンフェイン大会では、実績のある田畑、穂積に新加入の小平の布陣で挑み、4位となった

 対戦する2チームが3人1組で縦に並び、トラックの半周ずれた位置から同時にスタート。1周387.36mのトラックを女子は6周、男子は8周する。相手を追い抜くか、チーム最後尾の選手が先にフィニッシュした方が勝ちとなる。対戦はトーナメント方式で、敗れたチームは順位決定戦に回る。敗者復活の道はなく、一戦一戦がメダルを賭けたサバイバルレースとなるのだ。

 競技のポイントは、空気抵抗の負担が大きい先頭の選手を順々に交替しながらレースを展開していくところにある。先頭に立った選手は、レースを最後まで戦い切れる限界ギリギリのスピードを維持し、後方の2選手は先頭時に疲労した体力の回復に努める。順序交替のタイミングや回数は自由で、出場選手の力が拮抗している日本チームは、基本的に各選手が2回ずつ先頭に出る。スピードがある短距離型の選手にはレース序中盤のスピード維持が、スタミナのある長距離型の選手には終盤の粘りが求められる。

 また、チームを構成するメンバーには、各国4名までのエントリーが認められている。どの3選手を起用していくかは、個々の選手のコンディションや対戦国の状況を見極めて決めることになる。

カナダ以下は実力が拮抗。日本にもメダルのチャンスは十分。

 バンクーバー五輪には、今シーズンのW杯ランキング上位6カ国に、その6カ国を除く今シーズンのベストタイムランキング上位2カ国を加えた、男女各8カ国が出場する。女子はW杯ランキング1位のカナダが、今シーズンの1000mと1500mでランキング1位、2位の選手を擁するなどチーム力は傑出しており、バンクーバーでも金メダルが確実視されている。

 だが、ランキング2位のロシアから3位の日本、4位のドイツ、5位のオランダまでは実力が拮抗しており、どのチームも銀、銅メダルを取るチャンスは十分にある。五輪本番のトーナメントの組み合わせは、W杯ランキングでグループ分けされ、日本は初戦でランキング5位のオランダか、6位の韓国と対戦することが決まっている。

<次ページへ続く>

► 【次ページ】 リーダー格の田畑は「油断はできない」と気を引き締める。

(更新日:2010年2月6日)

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