昨年の日本シリーズ中継で、強く印象に残っている場面がある。テレビのゲスト解説者として呼ばれていた野村謙二郎・広島新監督の発言だ。
3回裏、日本ハムの4点リードで巨人の攻撃。無死二塁。ここで野村は「4点差はあるけど、まず1点取りたい。バントもあると思います」とコメントしたのである。
4点ビハインド。しかも走者一塁ではなく、二塁である。そこで送りバント。
なるほど、野村新監督はそういう堅い采配を振るうタイプの指揮官なのかと、頭にこびりついて離れない。走者二塁からの送りバントは、成功率が低い上に、ほとんど得点確率を上げないのだが……。
今シーズンも、3人の新監督がデビューする。野村のほか、横浜の尾花高夫、ロッテの西村徳文。このほか、オリックスの岡田彰布と、楽天のブラウンも新監督ということになるが、両者のキャリアは豊富だ。
監督の采配能力を数値化する「ゲットベース」とは?
監督采配を数字で評価するにはどうすれば良いのか。
そのひとつが、チームの打撃成績から「推定得点」を計算して、それを「実得点」と比較する方法である。
ヒットを何本打った、本塁打を何本打った、ならばこのくらいの得点が生み出されているはずだと、チームの得点効率を調べる。その効率が良ければ、打順のつながりなども含めてベンチワークが的確だったことになる。
正直に言えば、得点効率の良さがそのまま監督の采配能力を示すとは思わない。効率の良さはあくまでも打線が生み出すものだし、効率が悪くても、野球は相手より1点でも多く取れば勝ちになる。だから、これを監督の能力に当てはめるのは、一種の数字遊びであるというお断りをした上で、先へ進む。
では、推定得点はどうやって計算するのか。いろんな方法が提案されているが、ここでは「ゲットベース(以下、GB)」という私自身が考案した指標を使う。
GB=(1.8×単打)+(3.2×二塁打)+(4.4×三塁打)+(5.4×本塁打)+(1.4×四死球)
GBR(推定得点)=GB×0.16
式の説明は本稿の末尾に付けておくので、興味のある人だけ読んでください。
この指標には、犠打や盗塁などの戦術的なスタッツを敢えて入れてない。それらを除いた上で推定得点を計算し、犠打や盗塁などのベンチワークが加わった結果の実得点と比較してみようという意図もある。
<次ページに続く>
筆者プロフィール
田端到
1962年、新潟県生まれ。コラムニスト。競馬、野球の分野を中心に活躍し、著書に監督采配をデータから論じた「図解プロ野球 新・勝利の方程式」、「パーフェクト種牡馬辞典」など多数。ヤクルトスワローズ愛好家でもある。
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