今回のシリーズを振り返って改めて感じたのは、相手に無言の圧力をかけられる「勝ちパターン」を持つチームの強さだった。
レギュラーシーズンで182本の本塁打を打った巨人に、シリーズでも8本の本塁打が飛び出した。だから「巨人が打ち勝った」という印象が強いかもしれない。しかし、巨人の大きな勝因は、越智大祐、山口鉄也、クルーンとつなぐ「勝ちパターン」を持っていたことだろう。
一方の日ハムはクローザーの武田久は決まっていても、悲しいかな、「これだ」という「必勝パターン」がなかった。
選手がゲームをつくり、梨田監督が目に見えない勢いを最大限に生かす日ハムと、きっちりとした勝ちパターンを持って戦いに臨んだ巨人。お互いシーズンどおりの戦い方だったが、その差が明暗をわけたのではないだろうか。
しかも決着がついた第6戦のように、原監督は彼ら3人の前に、ベテラン・豊田清を挟んできた。WBCで日本を世界一に導いた「短期決戦で勝つ采配」が冴えわたっていた。
スレッジを封じた阿部のリードを評価すべき。
阿部慎之助が随所で見せた、投手に思いやりのあるリードも光った。
まずは第1戦の9回裏2死二塁でスレッジを迎えた場面。ここで阿部はボールになるフォークを8球連続で要求した。もし四球で逆転のランナーを出すことになっても、次の小谷野栄一でアウトをとればいい。そう考えてのボールの要求だから、投手は気が楽になる。実際、好調・スレッジを歩かせ、小谷野で勝負。三振に討ち取った。クルーンは結局、3試合に登板し、3セーブを挙げた。走者を出しながら抑えられたのは、ボールになることを恐れさせなかった阿部のリードが大きかった。
楽天とのCS第2ステージで逆転サヨナラ満塁本塁打を放ったスレッジを、私は、余勢を駆って打ちまくるラッキーボーイになると見ていたが、この打席以降、迷いが生じたのか、案外な成績に終わった。打つほうの活躍でMVPを獲得した阿部だが、彼のリード面も、もっと評価されていい。
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Sports Graphic Number 741
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2010年3月12日 






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