ベネズエラ戦で感じた岡田監督への違和感。

杉山茂樹のサッカー道場

ベネズエラ戦で感じた
岡田監督への違和感。

杉山茂樹 = 文
text by Shigeki Sugiyama
photograph by Naoya Sanuki

関連アスリート:
岡田武史大久保嘉人小笠原満男

 主力を半分欠いたベネズエラをホームに迎え、何の面白味もない0-0の試合をした直後だというのに、岡田サンは気まずそうな素振りも、悪びれた様子も一切見せず、試合後の記者会見に臨んだ。

 このギャップには毎度驚かされるが、今回はそれに加えて、会見の中身も輪をかけていた。聞いているのが嫌になるほど、お粗末な発言が相次いだ。

「攻撃に関しては、プレッシャーに慣れていないこともあったのですが、いかんせん中盤選手のタイプが中でプレーする選手が多くて……」

「小笠原は中に入ってプレーするタイプの選手なので……」

「中盤で1回、2回かわせてもすぐに潰されるというのが続いて、どう対処するか、ずっと我慢していました」

「ちょっとヒントとして、中盤が中に入りすぎるなら、サイドに1人、サイドバックを置いてはどうかと話しました。少しできるようになったと思いますが、その後は大久保に左サイドに張らせて、それからボールが動くようになったと思います」

小笠原のプレー適性が「中」にあることは知っていたはず。

 小笠原のプレーの適性が「中」にあることは、一体いつ分かったのか。

 小笠原はずっと有名選手でいるベテランである。Jリーグを制した鹿島の主将として、昨季はMVPにも輝いている。代表選出は久しぶりとはいえ、急に代表戦に臨んだわけでもない。試合前には、1週間におよぶ合宿に参加していたわけだ。

「中」でプレーすることが好きな選手を、岡田ジャパンにどう当てはめるか。それは、彼を招集した段階で、衆目の一致するポイントだった。

 それを前提に、指宿合宿に臨んだのではなかったのか。それを前提に、ベネズエラ戦に臨んだわけではなかったのか。もっと言えば、そうしたキャラクターの持ち主だからこそ、これまで代表に招集しなかったのではなかったのか。

 それが上手くいかなかった理由だと述べる岡田サン、誰もが知る常識を、今さら口にする岡田サンに、開いた口は塞がらなかった。

国際Aマッチの価値を岡田サンはどう考えているのか?

 しかもだ。試合中、選手たちがそれにどう対処するか「ずっと我慢していた」というから恐ろしい。鹿屋体育大学と練習試合を行なっているわけではないのだ。ベネズエラ戦は、れっきとした国際Aマッチ。カテゴリー1の当日売りが6500円もする高価な試合だ。親善試合といえども、民放のキー局がゴールデンタイムで生中継する一大イベントだ。

 日本全国にサッカーという「商品」を宣伝するこの上ない機会。サッカー人気、サッカー産業の浮沈を懸けた大一番といっても言いすぎではない。可能な限り良いステージを披露することが、その国の代表監督に課せられた使命であるにもかかわらず、岡田サンはじっと我慢したのだそうだ。感覚がズレているとしか言いようがない。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  プロのサッカー監督とは負ければ地位を追われる勝負師。

(更新日:2010年2月6日)

ソーシャルブックマークに追加:

  • gooブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに追加
  • はてなブックマークに追加
  • Buzzurlに追加
  • livedoorクリップに追加
  • FC2ブックマークに追加
  • newsingに追加
  • イザ!に追加
  • deliciousに追加

筆者プロフィール

杉山茂樹

1959年7月8日生まれ。静岡県出身。大学卒業後、フリーのライターとして「Sports Graphic Number」やサッカー専門誌などで執筆するほか、解説者としても活躍中。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「ワールドカップが夢だった。」(ダイヤモンド社)、「サッカー世界基準100」(実業之日本)、「4-2-3-1」(光文社新書)、「日
本サッカー偏差値52 」(じっぴコンパクト)などがある。

サッカー日本代表ニュース

サッカー日本代表ニュース一覧へ
NumberWeb

NumberWebPLUS

創刊30周年特別編集
Numberが見たスポーツと世相 1980~2010 
3月15日発売

目次を見る
「Go Beyond ― その先へ 太田雄貴編」島津製作所ホームページ 「ナンバー学校 in 丸の内」開校! 3月22日(月・祝) 入場無料

フォトギャラリー

一覧へ
アンドレ・ランゲ&ケビン・クスケ セス・ウェスコット
ワン・メン ショーン・ホワイト
シャニー・デービス バンクーバー五輪閉会式

文藝春秋の新刊紹介

浅田真央、18歳

宇都宮 直子・著

オリンピックに向けて
さらに磨きのかかる真央、
18歳の素顔

不屈の「心体(しんたい)」
なぜ闘い続けるのか

大畑 大介・著

数々の試練に見舞われてきた
「ラグビー界の至宝」は、
なぜ走り続けられるのか