無念なり、BMWのF1撤退。~ホンダ同様、1勝で終わるのか?~

今こそモータースポーツ

無念なり、BMWのF1撤退。
~ホンダ同様、1勝で終わるのか?~

西山平夫 = 文
text by Hirao Nishiyama
photograph by Hiroshi Kaneko

 BMWよ、お前もか! 昨年12月のホンダに続いて今年7月にはBMWも今年限りのF1撤退を発表。その理由を「F1プロジェクトの見直しの結果」としているが、グランプリから名門チームが櫛の歯が抜けるようにポロポロと姿を消していくのは、悲しいのを通り越し苛立たしいほどである。

噂は現実に……。シーズン序盤から囁かれていたBMWの撤退。

「BMW、ヤバクない?」という声は実はシーズン序盤から挙がっていた。昨年のいわゆる世界同時不況の荒波をモロに被って、スポーティ車を販売の柱とする同社は経営状態の悪化を呼んでしまったのだ。とはいえヨーロッパの自動車メーカーは“経営は経営、スポーツはスポーツ”と割り切る考えのところが多く、BMWもその常識に沿って苦しくともF1に参戦し続けるのでは……という見方もあったが、背に腹は代えられなかったということなのだろう。

 と、もうひとつ、今年の戦績があまりにも不甲斐ないことも撤退の理由にあるはずだ。昨年コンストラクターズ・ランキング3位だった同社の今季戦績は、第10戦ハンガリー終了時点で8位。得点たった8点というのでは、止めたくもなるだろう。今季最上位はマレーシアにおけるハイドフェルドの2位で、雨がらみの展開に助けられたとはいえKERS(エネルギー回収システム)搭載車初の表彰台だった。しかしその後はパッとせず、シーズン途中にはKERSを外してしまい、最近は予選の第一セッションで敗退することも珍しくなかった。不振の原因は空力開発の失敗といわれ、ダウンフォース不足がマシンからグリップ感を奪いドライバーもすっかりやる気をなくしていた。不況に不振が追い討ちをかけたということか。

2003年のシーズン、モントーヤとラルフが反目しなければ。

 BMWはF1の名門チームの中では比較的新参者で、1982年にエンジンメーカーとして参戦。ブラバムにターボ・エンジンを供給し、'83年にネルソン・ピケがチャンピオンを獲得している。この第一期活動は'87年をもっていったん終了したが、'00年から第二期活動を開始。今度はウイリアムズにエンジンを供給し、ミシュラン・タイヤとのコラボレーションも功を奏して'01年に初優勝し、この年4勝。フェラーリが猛威をふるった2002年は1勝だけだったが、'03年は4勝を挙げている。

 いま振り返ってみるとこの'03年がチャンピオン奪取の最大のチャンスで、ファン-パブロ・モントーヤがM・シューマッハー、K・ライコネンに次ぐ3位。チャンピオンを獲り損ねたのは、ドライバーのモントーヤとラルフ・シューマッハーが反目し合い、チームプレイを徹底させられなかったからで、ラルフの2勝をモントーヤに譲っていれば(いずれも2位はモントーヤ)、シーズンの流れは大きく変わっていたに違いない。チームの心ドライバー知らずで、1コーナーで両者が絡み合うシーンもあった。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  舵取り役の不在が撤退という最悪の事態を招いた。

(更新日:2009年8月19日)

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筆者プロフィール

西山平夫

1952年生まれ、新潟県出身。レース雑誌「AUTO SPORT」編集部を経て1984年にフリーランスに。現在F1全戦取材を主軸に「Racing On」「F1速報」「NAVI」等に寄稿。ひいきのドライバーはF・アロンソ。

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