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接触もお構いなし!? 遮眼帯をつけた競走馬のごとき走り。
レースはスタートの1コーナー手前でウェバーと予選2位のバリチェロが接触し、結局レースをリードしたのはバリチェロとなる。しかもウェバーには接触の一件でドライブスルーのペナルティが与えられた。だが、ドライブスルーしてからのウェバーのそこからが凄かった。意気消沈することなく、給油のピットインまで数周にわたってコース上の誰よりも1~1・5秒速いラップタイムを連発。これでレース半ばにはトップに返り咲く。いままでのウェバーならペナルティに腐ってレースを投げてもおかしくないところだが、無線を飛ばして激励するエンジニアの声に自らを奮い立たせて走ったのだとレース後に語っている。
筆者はこれまでウェバーのすべてのグランプリレースを見て来たが、ひとつ感じていたことは、他車との接触がやけに多いということだった。数え上げればキリがないが、'04年のスパ-フランコルシャンでは佐藤琢磨のチャンスをつぶしたし、現にニュルブルクリンクでもバリチェロと当った後は反対側に来たハミルトンにも当っている 。これはウェバー本人が言うように「思いもかけなかった」アクシデントで、故意の体当たりではない。となれば結論はひとつ。ウェバーには周りが見えていないのだ。走りのスイッチが入るや、遮眼帯をつけた競走馬になってしまうのがウェバーというドライバーである。私見だがその正反対にいるのが中嶋一貴で、彼はあまりに周囲が見え過ぎるのだと思っている。ともあれ、ウェバーがこれから接触の少ないドライバーになるのか、それとも変わらず遮眼帯を外さないまま2勝目を上げるのかは興味あるところだ。周りが見えることで“キレた”走りができなくなるということもなくはない。
このオフ、ウェバーは病院のベッドに横たわってシーズンインを待った。チームのプロモーションでマウンテンバイクの試走中にオフロード車に撥ねられ、両足を骨折。シーズン序盤は足を引きずってパドックを歩く姿が見られ、いまでも全力疾走のランニングはできないようだ。その絶望のアクシデントから半年経つか経たずで初ポールポジションと初優勝を飾るのだから、レースというものやはり下駄を履くまで分らない。伏兵ウェバーの初勝利で、シーズン後半が面白くなってきた。
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筆者プロフィール
西山平夫
1952年生まれ、新潟県出身。レース雑誌「AUTO SPORT」編集部を経て1984年にフリーランスに。現在F1全戦取材を主軸に「Racing On」「F1速報」「NAVI」等に寄稿。ひいきのドライバーはF・アロンソ。
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