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ニックス入りした2人の
故郷に対する熱き想い。
~アンソニーとビラップス~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byNBAE/Getty Images

posted2011/03/14 06:00

ニックス入りした2人の故郷に対する熱き想い。~アンソニーとビラップス~<Number Web> photograph by NBAE/Getty Images

「故郷(ホーム)に戻れるよ!」

 オールスター明けの2月21日、7シーズン半を過ごしたデンバー・ナゲッツからニューヨーク・ニックスにトレードされたことを知らされたカメロ・アンソニーは、声を弾ませて妻に告げた。2人ともニューヨークのブルックリン生まれ。昨年夏、ナゲッツ首脳陣にニックスへの移籍希望を伝えていたというから、まさに念願かなったトレードだった。「まるで夢を見ているようだ」と喜んだ。

 しかし皮肉なことに、故郷行きを喜ぶアンソニーの裏には、故郷を離れることになった選手がいた。アンソニーとともにナゲッツからニックスに移籍した34歳のベテラン、チャンシー・ビラップスだ。

 デンバーで生まれ育ったビラップスは、'04年にデトロイト・ピストンズで優勝し、ファイナルMVPも受賞した実力派ポイントガード。2シーズン半前にナゲッツにトレードになると、家族でデンバーに落ち着き、このままナゲッツで現役引退を迎えることを熱望していた。

トレード直後から勝負強さを発揮したビラップス。

 そんな矢先の、言ってみれば巻き添えになってのトレードだった。ビラップスの気持ちを知っていたナゲッツは、ビラップスを残す方法を画策したがうまくいかず断念。トレード発表の会見で、ナゲッツ経営者のジョッシュ・クロエンケは「ビラップス一家に対しては本当に申し訳なかった」と謝った。

 それでもビラップスには、アンソニーを恨む気持ちはなかった。「メロがどれだけこれを望んでいたかはわかっている。誰に対しても、怒っても失望してもいない」と言う。

 選手としては決して悪いトレードではなかった。ニックスには、昨年夏にFAで契約したアマレ・スタッドマイヤーもいた。26歳のアンソニー、28歳のスタッドマイヤーと共に、伝統あるニックスを強豪として復活させるというのは、ベテラン・ポイントガードとしてやりがいがあるチャレンジだった。

 トレードから3試合目、マイアミ・ヒートとの注目の一戦で、ビラップスはさっそく勝負強さを発揮し、チームを勝利に導いた。

 試合後、ビラップスは言った。

「ユニフォームが変わり、他のことも色々と変わったけれど、誇りと情熱は今までと変わらない」

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