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無敗のサウスポー同士が
激突する注目の一戦。
~3月5日は「聖地」後楽園ホールへ~ 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph byBOXING BEAT

posted2011/03/02 06:00

強豪ひしめく日本バンタム級の王座を争う山中慎介(右)と岩佐亮佑。好試合を期待したい

強豪ひしめく日本バンタム級の王座を争う山中慎介(右)と岩佐亮佑。好試合を期待したい

「ボクシングの聖地」後楽園ホールがダブルタイトル戦でいっぱいになることはあっても、単一のメインカードで超満員となるのは近年まれである。

 久々にそうなりそうなのが、3月5日に同地で行なわれる日本バンタム級王者・山中慎介と、1位挑戦者・岩佐亮佑の無敗同士によるタイトルマッチ。今季チャンピオンカーニバル(全13階級の日本王者がそれぞれ最強挑戦者と対戦する)のなかでも断トツの人気だ。

 山中は世界チャンピオン3人を含む帝拳ジムの現役7王者のひとり。13勝9KO2分の戦績が示すように、サウスポースタイルから放つ左ストレート、右フックに一撃必倒の威力を秘めるボクサーパンチャーである。一方の挑戦者はセレスジムのセレス小林会長(元世界スーパーフライ級王者)が手塩にかけて育てた秘蔵っ子。スピードと勘の良さを武器に、「打たせないで、打つ」サウスポーの典型的なアウトボクサーで、8勝6KOとこれまた負け知らず。ともにアマチュアでの実績があり、山中には現世界王者で同僚の粟生隆寛がアマ時代に最後に負けた相手という“勲章”もあるが、岩佐の高校三冠王獲得には一歩譲るか。

両陣営とも強気だったからこそ実現した好カード。

 世界を目指す逸材同士ゆえ、昨年の「最強後楽園トーナメント」で岩佐が優勝し挑戦権を得た時点でも、このカードが実現するか半信半疑だった。岩佐が出場辞退するか、山中が王座を返上しても不思議ではない。2人の試合を放映してきたのは同じテレビ局で、このケースでは今潰し合うのはもったいないと、暗黙の回避策が取られることが珍しくないからだ。

 しかし今回は両陣営とも強気で、ファンにはうれしい魅力カードが実現した。互いに、世界に行くために越えなくてはならないハードルと見ているのだ。

 左同士だけに、互いにやりにくさはない。7連続KOの勢いを駆って山中の強打が一撃で岩佐を沈めるか、それとも岩佐が理想的アウトボクシングで完封するか、予想は真っ二つに割れる。「試合前から結果がわからない」という点でも好カードの必須条件を満たしている。

 両者とも自信満々。「勝って、亀田君とやりたい」と山中が言えば、岩佐も「自分勝手に試合を進める。楽しんで見ていてください」。カーニバルの歴史に残る一戦を期待したい。

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