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F・トーレス移籍の裏側に隠された、
チェルシーとリバプールの思惑。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2011/02/18 10:30

F・トーレス移籍の裏側に隠された、チェルシーとリバプールの思惑。<Number Web> photograph by AFLO

チェルシー移籍後最初の試合である古巣リバプール戦に臨むF・トーレス(左から2番目)。自身のキャリアは出身クラブのアトレティコ・マドリーで終えたいと考えているという

トーレスのための布陣が完成しないと新たな火種発生も。

 互いにCFであるドログバとトーレスの共存は、従来の3トップでは非現実的。そこで2トップへの変更となるが、MF陣に純粋なウィンガーがいないために、中盤の構成はダイアモンド型にほぼ限られる。この陣形自体は、ミラン時代からカルロ・アンチェロッティ監督の得意とする所だが、チェルシーには頂点に当るトップ下の適任者がいない。

 その事実は、就任1年目の昨季途中に、4-4-2から4-3-3への回帰を余儀なくされた指揮官自身が認識しているはずだ。今季途中でのシステム変更を強いられるトーレスの獲得が、監督の希望ではなくオーナーの一存と噂されるのもそのためだ。

 アンチェロッティが結果にこだわるのであれば、オプションとして実績のある4-3-2-1という手はある。だが、1トップを基本とすれば、ローテーションの対象となるFW陣はもちろん、その1人に大枚をはたいたばかりのオーナーが黙ってはいないだろう。

 相思相愛でチェルシー入りしたはずのトーレスだが、現時点では、タイトル獲得への起爆剤としての可能性と共に、チーム崩壊の新たな火種としての危険性もはらんでいる。

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