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グラブを置く者、続ける者。
彼らの「決断」を考える。
~岐路に立つメジャーリーガーたち~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2011/02/16 06:00

グラブを置く者、続ける者。彼らの「決断」を考える。~岐路に立つメジャーリーガーたち~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

約10億円の年俸を捨て引退を選んだメッシュ。メジャー10年間で通算成績は84勝83敗だった

 一瞬だけ輝くことも簡単ではないが、長く輝き続けることはさらに難しい。このオフシーズンも、才能豊かな選手が志半ばでグラウンドに別れを告げた。

 なかでも、1月18日にロイヤルズのエース格、ギル・メッシュが突然、引退を発表した一報は、米国の球界関係者に大きなショックを与えた。1200万ドルの今季契約を自ら破棄してまで、32歳の右腕は身を引く決断を下した。'96年ドラフト1巡目でマリナーズ入り後、右肩痛に悩まされながらも、'03年に15勝を挙げてカムバック賞を獲得。ロイヤルズに移籍後の'08年には14勝をマークするなど、トップメジャーとしての地位を固めたはずだった。現時点で、正式なコメントを残していないが、昨季、再発した故障と無関係ではないだろう。

 '00年ドラフト1巡目でデビルレイズ(現レイズ)入りしたロッコ・バルデリも、第一線から退いた。デビュー直後から強打の外野手として活躍したものの、相次ぐ故障と細胞内のミトコンドリア異常という難病もあり、29歳の若さで現役続行を断念した。

「肉体的にこれ以上、プレーできる状態ではない」

大塚晶則は、桑田真澄に贈られた言葉を胸に復帰を目指す。

 その一方で、不屈の意志で故障と戦い続ける選手もいる。メジャー最年長の48歳、ジェイミー・モイヤーは昨オフ、フィリーズから自由契約となった。それでも12月に左ヒジの腱移植手術を受け、'12年に現役復帰する決意を明らかにした。その後、すぐにリハビリを開始し、「スーパーマンはカムバックする」「復帰はシアトルで。多分」などのメッセージを、ファンに対して発信している。

 '06年、第1回WBCで胴上げ投手となった大塚晶則も、39歳にして復帰への道をあきらめていない。'07年以降、3度の右ヒジ手術を受け、ブランクは3年以上に及ぶ。それでも、同じように故障から復活した桑田真澄から贈られた「辛抱」の言葉を胸に、自宅のあるサンディエゴで孤独なリハビリを続けている。

 野球人生の岐路に立った場合、おそらく、往くも、戻るも、苦悩は避けて通れない。第2の人生に足を向けるのか、それとも再び故障に立ち向かうのか。

 選手寿命に違いはある。だが、たとえ一瞬でもファンを魅了した輝きが、今後も色あせることはない。

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