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不振に喘ぐレアルで繰り広げられる、
モウリーニョ対GMの“仁義なき戦い”。 

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中嶋亨

中嶋亨Toru Nakajima

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photograph byMutsu Kawamori

posted2011/02/11 08:00

不振に喘ぐレアルで繰り広げられる、モウリーニョ対GMの“仁義なき戦い”。<Number Web> photograph by Mutsu Kawamori

チェルシーの監督時代は、経営陣と選手補強を巡ってたびたび衝突し、結局チームを自分から去ることになったモウリーニョ

補強に失敗したGMをモウリーニョ監督は公然と非難した。

 この顛末を見届けたモウリーニョは、強化部への逆襲に出た。

 最大限の努力もせず、それでもロッカールームに出入りし、チームに近い位置にいようとするバルダーノへの不満を隠さなくなったのだ。

「試合結果やチーム状態の報告は会長にはするが、バルダーノにはしない」

「クラブはその規模の大きさに見合うだけの機能性を持っていない」

「このような状態ではレアルで監督を務めることは誰にもできない」

 慌てたペレス会長は、モウリーニョと会談の席を設けた。モウリーニョはペレスに決断を求めた。

 自らの右腕であるバルダーノを取るのか、それとも、自分を取るのか。

 ペレスは後者を選んだ。

チームとの接触の機会を次々と奪われていったバルダーノ。

 それまでチームと共に遠征していたバルダーノは、セビージャとの国王杯準決勝一戦目から遠征に帯同しなくなった。仮に帯同しても、試合前後にロッカールームに立ち入ることはできず、練習場のロッカールームへの出入りも禁じられた。

 レアルがオサスナに敗れたパンプローナ遠征にもバルダーノは帯同せず。バルダーノは「監督が最高の仕事をするために私と距離を取りたいのならばそれを受け入れる」と発言した。

 カタルーニャ系メディアはペレス会長がモウリーニョの意向を受け入れたことで、バルダーノが今すぐ、あるいは、遅くとも今シーズン終了をもってクラブを去りたがっていると報じた。

 この報道についてバルダーノ本人は「全くのデタラメ」と否定したが、そのような噂が出ること自体が、ペレス会長の下では絶対的な存在だったバルダーノの立場が危うくなってきていることを示していた。

【次ページ】 モウリーニョの確固たる信念はレアルを変えられるか?

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