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敵愾心と敬意が交錯する、
好敵手同士の熱き戦い。
~NBA伝統の対決が復活した夜~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byNBAE/Getty Images

posted2011/02/09 06:00

敵愾心と敬意が交錯する、好敵手同士の熱き戦い。~NBA伝統の対決が復活した夜~<Number Web> photograph by NBAE/Getty Images

 1月30日、昨季NBAファイナル第7戦に敗れて以来7カ月ぶりに、ボストン・セルティックスが敗戦の地、ロサンゼルスのステープルズセンターに戻った。天井近くに高く掲げられたレイカーズ史上16枚目のNBA優勝バナーは、7カ月前の戦いの結末を示していた。

「あのときの痛みはまだ消えない」と、セルティックスのエース、ポール・ピアスは言う。13点のリードを取りながら逆転され、目の前でレイカーズに優勝を奪い取られた悔しさは、過去のことと簡単に切り捨てられることではなかった。3年前のNBAファイナルでセルティックスが優勝する様子を目の前で見せ付けられたレイカーズが、その悔しい思いを長い間忘れられなかったのと同じように。

 今シーズンのNBAでは、マイアミ・ヒートが時のチームとして注目を集め、成績面ではサンアントニオ・スパーズがリーグ首位を独走している。しかし、それでもセルティックスとレイカーズの両チームは、常にお互いだけを見て、お互いだけを意識しているかのようだ。

「レイカーズこそが倒すべきチームだ」とピアス。

「マイアミはボストン相手に勝ち抜けないと思っている」とレイカーズのヘッドコーチ、フィル・ジャクソンが言えば、セルティックスのピアスも「レイカーズこそが倒すべきチームだ。今の成績がどうであれ関係ない」と言い切る。お互いに相手のチームカラーを身に着けたくないほど嫌いながらも、6月にNBAファイナルに出てくるのはセルティックスであり、レイカーズであるはずだという認識だけは共通している。それは、7試合の死闘を演じた相手に対する敬意と置き換えてもいいのかもしれない。

 1月30日の対戦は、7カ月前よりひと回り強くなったセルティックスが、まるで昨季の無念をぶつけるかのように109-96で勝利をあげた。対するレイカーズは逆に王者の油断や脆さを垣間見せた。もちろん、これだけでセルティックスの痛みは消えない。だからこそ、試合後にセルティックスのヘッドコーチ、ダク・リバースは「また(6月に)対戦したい」と言った。

 メディアによって簡単にライバルが作られてしまう時代だが、本物のライバルを前にすると色褪せて見える。試合内容や結果以上に、両者の相手に対する思いにそのことを感じた一戦だった。

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