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「雄星」から「菊池」への改名は正解!?
今こそ登録名変更の効果を考える。 

text by

村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

PROFILE

photograph byMami Yamada

posted2011/02/07 10:30

「雄星」から「菊池」への改名は正解!?今こそ登録名変更の効果を考える。<Number Web> photograph by Mami Yamada

「心機一転、原点に立ち返り、野球に専念したいと思います」と改名について説明した菊池選手

本名からの変更は「俺に注目しろ!」という決意の表れ。

 以前、登録名を変えたある選手からこんな話を聞いたことがある。

「名前を変えるとよくも悪くも周囲から注目されるようになるんで、重圧みたいなものは感じたことがあります。目立つ名前で成績が悪かったら、恥ずかしいじゃないですか」

 確かに今でこそイチロー、T-岡田の名前に違和感を感じることはないが、最初に彼らの登録名を聞いた時はどうだったであろう。思い出してほしい。正直、戸惑いはなかったか?

 ロッテのサブローにしても、出始めの頃に、イチローのパチモンと言われていた時期があったことを覚えているが、その実力を示したことで、今や野球界では北島をも凌駕するサブローとなり、北京五輪の際には、逆に「大村って誰だ?」と多くの人の首を傾げさせるまでになった。

 つまり、本名からの登録名の変更は、「俺に注目しろ!」という決意の表れであり、注目されても恥ずかしくない成績を残すという心意気とも取れる。その強い心がブレイクへと繋がった……なんてことも推測できなくはない。

斉藤和巳、多村仁志……改名で成績が上向いた選手たち。

 ホークスのリハビリ担当コーチを務める斉藤和巳も、斉藤姓が3人となった球団事情で、入団時から4年間は「カズミ」を名乗っていた時期がある。カズミ時代は0勝だったが、'00年に本名に戻した途端、プロ初勝利を挙げ、とんとん拍子でエースへと登り詰めた。

 デニー友利も、改名と成績が如実に関係している。大洋ホエールズ入団時の「友利結」では8年間未勝利ながらも、9年目に「デニー友利」へ改名するとプロ初勝利。さらに'97年西武へのトレードを機に「デニー」へと改名すれば、中継ぎの軸として大ブレイク。'03年に横浜復帰と共に「デニー友利」も復活したが、2年間で1勝9敗7セーブと成績を落としている。

 あの満身創痍だったホークス多村仁も、一昨年シーズン序盤の故障でついに「仁志」へと改名。それでも持病の腰痛などに悩まされ満足にプレーができない悪夢は続いたが、効果は年明けと共にやってきた。昨シーズンは憑き物が落ちたかのように、自己最多の140試合に出場。成績も打率.324、27本塁打と大復活。初のオールスター出場まで果たしてしまった。

 その他、中日・川井は'09年に進から雄太へと名前を変えた途端に二ケタ勝利。巨人のマイケル中村は、日ハム時代の「MICHEAL」から'09年の巨人移籍と共に「M.中村」へ変えると、前年まで2点台だった防御率が一気に6点台へ急落。もうダメかと囁かれた昨年「MICHEAL」へ登録名を戻すと、これまた別人のように1.93に戻ってしまった。

 アルファベットにも字画が関係するのかどうかはともかく、これらの例を見ていると、何かしらの影響があるとしか思えない。

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