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中日・与田剛前監督が振り返る根尾昂“外野をトライさせた理由”「遠回りにはならないと」「投手挑戦にあたって資質の前に大事なのは…」

posted2022/07/04 11:02

 
中日・与田剛前監督が振り返る根尾昂“外野をトライさせた理由”「遠回りにはならないと」「投手挑戦にあたって資質の前に大事なのは…」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

昨年まで中日ドラゴンズを率いた与田剛氏。インタビュー後編では、監督就任中に試みた根尾昂の外野手起用、そして今季の「投手転向」について語った

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Yuki Suenaga

2019年から昨年まで中日ドラゴンズを率いた与田剛氏。監督就任中に試みた根尾昂の外野手起用、そして今季の「投手転向」について語った。(全2回の後編/前編へ)

「監督は、好かれようとしてはいけない仕事だと思うんです」

――監督就任会見の時、与田さんは「嫌われても(選手に)近づいていこうかなと思っています」と話していました。あれは、どういう意味だったのでしょうか。

与田 私がプロ野球の指導者としてのキャリアをスタートさせたのは2016年、楽天の一軍投手コーチからでした。一軍の選手は、とにかくストレスや不安をなくし、環境を整えればこちらの意図を理解してくれます。だから、そこに一番注意していました。でも就任3年目に二軍コーチを任され、一軍の時と同じ感覚では、うまくいきませんでした。二軍の選手は、教えてもなかなか伝わらないことがあった。その時、「教える」と「伝える」は、こんなに違うものなんだなと痛感しました。どれだけ嫌がられようとも、伝わるまで言い続けなければいけないこともあるんだなと。

――監督になったら、そういう役割も果たさなければならない、と。

与田 そういうこともありますよね。最初から試合に出られるメンバーは9人しかいないので、競争も激しくなります。試合に出て活躍させるためにも、意図をしっかり伝えて、万全の準備をさせることが必要だと感じていました。ある意味、監督は、好かれようとしてはいけない仕事だと思うんです。時には二軍行きも決断しなければなりません。あんなに嫌なことはありませんが、だからこそ、二軍に落とす時は、自分で伝えるようにしていました。

 当然、伝える際は、重たい空気になります。選手も監督室に呼ばれたら、だいたい察しがつきますからね。明日から二軍行きを伝える際、選手の顔が明らかに納得していない時もありました。そういう時は「腹にためたまま二軍には行くなよ」と全部、吐き出すように促しました。ある選手は「何が足りないんですか?」って聞いてきましたが、この姿勢はとても大切です。だから、こちらも相手が納得するまで説明したつもりです。

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