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後楽園ホールからアメリカへ。
二極化する2011年の格闘技界。 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph bySusumu Nagao

posted2011/02/01 10:30

後楽園ホールからアメリカへ。二極化する2011年の格闘技界。<Number Web> photograph by Susumu Nagao

1993年、アメリカはデンバーで始まったUFCは今や格闘技界、世界最高峰の大会となった

ローカルとグローバルへ。二極化する世界格闘技戦線。

 これまでは、選手もファンも“日本の大舞台”だけを意識していればよかった。だが、その大舞台がビジネスの再構築を迫られている中では、選択肢を増やす必要が出てくる。

 日本での大舞台を主戦場としながらも、それだけでは試合数が足りずに後楽園やディファで闘う者。日本でのしがらみから逃れ、現在の“格闘技の首都”であるアメリカでチャンスを狙う者。そして後楽園、ディファで今まさに育っている“メジャー級”の逸材も少なくない。そういった選手が増えれば、ファンの目も自然とそちらに向くことになる。

 海外での試合がより身近になり、同時に日本でインディーとされてきたイベントがグレードを高める。それが2011年の(少なくとも上半期の)潮流だ。日本の格闘家は後楽園やディファで育ち、活躍し、さらに大きな舞台を求めるなら海外へという構図である。

 では“ローカル”と“グローバル”がそれぞれに魅力を際立たせている時代にあって、日本におけるグローバルイベント、これまで“メジャー”と呼ばれてきた大会の役割とは何なのか。テレビ中継による一般層への格闘技の普及という役割は残されているものの、格闘技の醍醐味を味わうには中小規模の会場での生観戦と海外からの映像で充分ともいえる。まして現在はテレビそのものの価値が問われている時代だ。業界の構図が変化した中で新たな役割を作りだすことが、K-1とDREAMが再スタートするための必須条件となる。

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