野球クロスロードBACK NUMBER
引退後の就活が心配でしょうがない!?
不況下におけるプロ野球選手の不安。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byTakuya Ishikawa
posted2011/02/01 10:31
現役引退後、小学校高学年用の漢字ドリルから勉強し直し、大学に入り直した大越基。日本学生野球協会の認可を得て早鞆高校の野球部監督になったのは、引退から6年目の夏であった
巨人が現役選手向けに開いた「マネープラン講座」。
昨年から巨人は、球界初の試みとして都市銀行の職員を講師に招き、今後の人生でどのくらいのお金が必要なのかを選手に理解させる「マネープラン講座」を実施している。
金銭感覚が希薄と言われるプロ野球選手にとって、このような対策は非常にいい。しかし、これはあくまで将来的に役立つ知識であり、固執しろというものではない。
引退後の保障がないプロ野球選手にとって「先行きが不安だ」という気持ちは分かる。けれども、今回の意識調査の結果を見て率直に感じたのは「あまりにも夢がなさすぎる」ということだ。プロで成功するために入ったのではなく、むしろ入るのが目的だった、とすら感じさせてしまう。
だが、巨人やアンケートを実施したNPBのように、選手のセカンドキャリアへの意識を高めさせようと動き出す流れがあるのも事実。
例えば、引退後の再就職先の窓口拡大など、選手と組織の意識のバランスが保てるような確固たるシステム作りが球界全体で行われていくのであれば、選手の気苦労も軽減されるはずだ。そういう未来が拓けるのであれば、現役時代は野球だけに打ち込める。
そのための今回の意識調査だとすれば、意味があるものだったと言えるだろう。