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「なぜ小野伸二みたいな天才的な高卒Jリーガーがいなくなった?」セレッソユース“技術委員長”風間八宏の答えは…

posted2021/05/16 17:02

 
「なぜ小野伸二みたいな天才的な高卒Jリーガーがいなくなった?」セレッソユース“技術委員長”風間八宏の答えは…<Number Web> photograph by J.LEAGUE

1998年清水商卒業後、浦和レッズに入団した小野伸二。シーズン9得点を挙げ、新人王&Jリーグベスト11に

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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J.LEAGUE

Jリーグで首位を独走する川崎フロンターレ。その攻撃サッカーの土台を築いたのが風間八宏だ。その風間がセレッソのアカデミーで新たなミッションに挑んでいる。風間は何をしようとしているのか? (全2回の1回目/#2に続く)。

 これまで風間八宏は常に新たな道に進み、日本サッカーの常識を覆してきた。

 筑波大学卒業後、実業団からのオファーを断り、1984年にドイツのレバークーゼンに入団。1989年にマツダ(現サンフレッチェ広島)に加入すると、「俺はチームを優勝させるために日本に戻ってきたんだ」と言って日本代表を辞退。その言葉通り、1994年に主将として広島の1stステージ初優勝に貢献した。

 指導者になると、さらに大きなインパクトを残す。2012年4月に川崎フロンターレの監督に就任すると、技術にこだわって攻撃的なスタイルを追求。現在Jリーグで首位を独走する王者フロンターレの土台を築いた。

 2017年から約2年半率いた名古屋グランパスでは、さらに狭いエリアに相手を閉じ込めるサッカーに挑み、途中解任となってしまったが、「誰もやっていないこと」に挑み続けてきた。

なぜ風間八宏がセレッソに?

 その日本サッカー界きっての革命家が、新たなプロジェクトをスタートさせた。

 2021年1月、風間はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長に就任。ユース、ジュニアユース、スクールの改革を託された。いったい風間は何をしようとしているのか?

 事の始まりはセレッソの森島寛晃社長と梶野智強化部長が、Jリーグを分析したことだった。どんなサッカーが勝っているか? これからどんなサッカーが強くなるのか? いろいろな視点から調査し、彼らは風間の存在に行き着いた。

 まず梶野が風間のもとを訪れ、次は森島も同行。最後はセレッソアカデミーの代表理事を務める藤田信良も一緒に出向いた。まさに「三顧の礼」である。

 風間はこう振り返る。

「森島社長らから『ただ単にプロ選手を出すのではなくて、特別なプロ選手を出したい。そのためにいろんなアイデアを出して欲しい』と言われました。セレッソからの熱意を感じたので、私の決断も早かった。ぜひ一緒にやりましょうと回答しました」

「小野伸二の世代までは高卒Jリーガーが強烈だった」

 風間はJリーグの監督を経験し、あらためて日本サッカーの大きな課題に気づいた。

 それは「突出した個」の不足。

【次ページ】 「小野伸二の世代までは高卒Jリーガーが強烈だった」

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