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ゼルビアとサイバーエージェントの
関係で理解したい「FC町田」の歴史。

posted2019/10/17 18:00

 
ゼルビアとサイバーエージェントの関係で理解したい「FC町田」の歴史。<Number Web> photograph by FcMachidaZelvia

サイバーエージェントとの関係性が注目される町田ゼルビア。クラブが過渡期を迎えている中で、今後どのような歩みを見せるのか。

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郡司聡

郡司聡Satoshi Gunji

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FcMachidaZelvia

 2019年8月10日、ホーム・町田市立陸上競技場でのツエーゲン金沢戦。チーム最年長となる37歳の李漢宰(リ・ハンジェ)は、2シーズンぶりにリーグ戦の先発のピッチに立っていた。

「サッカー人生最後の試合になる。それぐらいの覚悟で挑もうと思う」

 2017年10月15日、金沢戦以来となる先発出場の試合で、李漢宰はクロスボールから土居柊太の同点ゴールをアシストした。その金沢戦以降、李漢宰は5試合連続で先発出場を果たした。

 腰や膝に慢性的な痛みを抱え、ここ数年は負傷で戦列を離れることの多かった李漢宰が、ベストに近いパフォーマンスでチームの勝利のために戦っている。その姿に胸を熱くしたファン・サポーターは、1人や2人ではないだろう。

 そこまで李漢宰がコンディションを回復できた要因は、本人やメディカルスタッフによる努力、そして練習環境の変化を抜きにして語ることはできない。

サイバーエージェント参画での変化。

 2012年のJリーグ参入以降、町田の主な練習場の拠点は、人工芝のピッチである小野路グラウンドだった。しかし、昨年10月にクラブがサイバーエージェントグループ(CA)に参画し、経営体制の変更による再出発を図ったことで劇的に練習環境が変化した。

 今年の6月より、町田の主な練習場は、土のグラウンドからハイブリッド芝のピッチに生まれ変わった上の原グラウンドを利用している。J1、J2全クラブの中で唯一、人工芝のグラウンドを“主戦場”としてきた町田にとっては劇的な変化である。

 2014年に町田に加入した李漢宰は、ここまで小野路グラウンドを優先的に利用させてもらったことを感謝していることを前置きにしつつ、天然芝の練習環境でトレーニングができている有り難さを次のように話している。

「膝、腰、いや体の全部に掛かる負担が違います。またボールタッチも含めて、より良い環境でやれていることに感謝しています。みんなでもよく話すのですが、ボール回しでのボールの跳ね方ひとつをとっても改善されていますし、日に日にピッチの状態が良くなっていると感じています。それは芝生の管理者の方々のおかげだと思っています」

 腰や膝に慢性的な痛みを抱えているベテラン戦士が、仮に人工芝の練習環境で今年もトレーニングを続けていたとしたら――リーグ戦のピッチに戻ってこられていたかは、疑わしい。これはトップチームの選手たちが、日常的に天然芝のピッチでトレーニングができているからこそだ。

【次ページ】 J1ライセンスを持たず昨季4位。

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