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ブラバンの名門取材で見えてきた、
高校野球応援に傾ける愛情と熱量。

posted2019/08/08 18:00

 
ブラバンの名門取材で見えてきた、高校野球応援に傾ける愛情と熱量。<Number Web> photograph by Yoichi Nagano

今春のセンバツを盛り上げた習志野高校の“美爆音”は、この夏もアルプススタンド響き渡る。

text by

梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

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photograph by

Yoichi Nagano

 Number編集部から「甲子園特集でブラバン応援を取り上げたい」と連絡があったのは7月初めのこと。「さて、どこの学校に取材すればいいだろう?」と考えた時、頭に浮かんだのは「顧問の先生が野球好きで、応援に熱心な吹奏楽部」。

 となればやはり習志野高校、拓大紅陵高校、大阪桐蔭高校の3校だ。発売中のNumberで取材に伺ったそれぞれの吹奏楽部を率いる先生方の、応援に傾ける情熱あふれる言葉から、各校の応援の魅力について触れてみたい。

 習志野高校吹奏楽部顧問の石津谷治法氏は、「吹奏楽部はコンクールばかりじゃなくて、他の活動にも力を入れたほうが、子どもたちのためにも地域のためにも絶対にいい」と話していたのだが、「まったくその通りだなあ……」と、とても心に響いた。

 野球以外にバレーボールやサッカーの応援にも全力で駆けつけるし、「地元習志野市民の皆さんに喜んでもらいたいから」と、習志野市の市民まつりで踊る『きらっとサンバ』も応援曲に取り入れる。

応援にハマる『星空のディスタンス』。

 夏の甲子園出場を決め、4日目に登場する習志野。今年の新曲はTHE ALFEEの『星空のディスタンス』だ。「なぜ80年代のヒット曲を?」と思う人もいるかもしれないが、これがなんともカッコいいのだ。打席に立つ選手も、きっと気持ちが奮い立つに違いない。

 以前、コンサートで「生徒の親世代も喜ぶ曲を」とこの曲を演奏したところ、「野球応援に使えるんじゃないか」と顧問の海老澤博氏が思い立ち、応援用に編曲。ひと足先にZOZOマリンスタジアムの県大会で聴いたが、あの名曲は、こんなにも応援にハマるのかと驚いた。

 余談だが、担当編集のT氏は、同時並行で大船渡高校の佐々木朗希の取材も担当していた。過去の大船渡高校の試合映像を見返していたところ、なんと1984年の選抜で明徳義塾が『星空のディスタンス』を応援に使用していたそうだ。

 同曲はこの年の1月発売なので、それを4月の選抜で演奏していたことになる。明徳義塾はかなり流行に敏感だったのだ。

【次ページ】 拓大紅陵の顧問も元野球少年。

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