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内田篤人が“還元する闘将”に変貌。
プレーだけでなくスタジアム改善も。

posted2019/04/08 10:30

 
内田篤人が“還元する闘将”に変貌。プレーだけでなくスタジアム改善も。<Number Web> photograph by Getty Images

ピッチに立ってキャプテンマークを巻き、チームメートを鼓舞する。内田篤人がキャプテンらしくなってきた。

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了戒美子

了戒美子Yoshiko Ryokai

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 Jリーグ開幕からある程度の時間が経って慣れてしまったかもしれないが、今季の内田篤人は、今までからは想像もつかない変化を見せている。

 小笠原満男のあとを継ぎ、鹿島アントラーズの主将に就任した。拙著『内田篤人悲痛と希望の3144日』の取材時に話していたことだが、就任を幼馴染である妻に知らせると「えー? 大丈夫? やったことあるの?」と驚かれたそうだから、キャプテンという立場にどれだけ縁がなかったかわかる。

 ただ実際、主将になってみると言動が変わってきた。遡ればシャルケに移籍する前、鹿島で過ごしていた頃はあまり多くを語らない時期があった。おそらくそれは鹿島のチームカラーと若さゆえだったのだろう。

 2010年にシャルケに入団して以降は、取材現場では最も頼りになる選手のひとり、つまりコメントの“取れ高”が多い選手となった。欧州で結果をだしている選手の1人として、説得力のある話を繰り出すようになった。

マスコミ対応がより積極的に。

 今季、内田のマスコミ対応はいっそう積極的になっている。話す内容も、チーム全体に言及するなど立場を反映するものが増えた。また、外側から見る私たちにもわかるレベルで、チームに見せる態度が大きく変わっている。

 若手が多いチームに目を配り、サポーターとの関係に心を砕く。時には試合後、サポーターと口論寸前のコミュニケーションをとり、プレーでは額から血を流すほどファイトする。かつては貴公子然としていた内田が、闘将に変貌しているのだ。

 ただそうした変化は、内田がキャプテンになったからというよりも、クラブへの強い思いが表面に出ているだけだと筆者は思っている。闘将のような振る舞いこそがキャプテンシーだと思っているわけでもなく、安西幸輝ら後輩にうるさく言うことが先輩のあり方だと考えているわけではない。

 内田が意識しているのは、欧州での経験をどう鹿島に還元するかだ。それは勝負へのメンタリティや戦い方から、クラブ全体のあり方にも及ぶ。それらを内田がプレーヤーとして必死に伝えようした結果が、今の姿なのだと思う。それこそ内田が今なさねばならないと思っていることであり、鹿島が内田に求めることでもあるはずだ。

【次ページ】 欧州での経験を鹿島に還元する。

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