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顔が見えないSNSとの向き合い方。
日本ハム・広報が抱える葛藤。

posted2019/03/16 10:00

 
顔が見えないSNSとの向き合い方。日本ハム・広報が抱える葛藤。<Number Web> photograph by Kyodo News

2018年北海道地震後、初めて本拠地で行われた試合で勝利した日ハムナイン。

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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Kyodo News

 面と向き合うことが難しいが、確かに存在を感じている。活字などを通して、確かな息遣いも感じている。ただ、対象となる「相手」はスクリーンにはいるが、目の前にはいない。

 時折、強いリアクションがあるケースがある。きっと向き合ったことがない方々ばかりである。

 広報として思い悩み、明確な答えを出すことができずにいる1つの事案がある。インターネットの普及・浸透による、一部のさまざまな人たちとの関係性についてである。

 2019年3月11日。また、考えさせられる出来事があった。

 その日は、広島東洋カープの本拠地「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」での練習日だった。'11年の同日に東日本大震災で被災した方々へ対し、チーム全員で黙祷を捧げた。そのシーンを、携帯電話で撮影して弊社のSNS担当者へ画像を渡した。

削除した1枚の写真。

 その写真は球団公式SNSにアップして1時間も経たないうちに、削除することになった。

 黙祷をしている最中に、球団スタッフが写真を撮影していることが「不謹慎」であるとの指摘がコメント、ツイートで散見されるようになった。それが、SNS担当が削除という判断に至った理由である。

 チーム全員で黙祷している最中に携帯電話で写真を撮影した行動は、確かに「不謹慎」かもしれないと我が身を省みた。その前後にはもちろん、しっかりと気持ちを込めて黙祷はしていた。

 写真を、球団公式SNSにアップした狙いは、未曾有の大震災をいつまでも心に刻み、野球が当たり前のようにできる幸せな日常の尊さ、ありがたみをあらためてファンの方々とも共有したい、との思いだった。ただ、そのような「不謹慎」であるとの指摘、見解についても理解はできた。真摯に受け止めたことは、本音である。

【次ページ】 北海道地震、届いた励ましの声。

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