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鳥谷敬は目立っているけれど……。
藪恵壹が見た、阪神キャンプ。

posted2019/02/17 11:30

 
鳥谷敬は目立っているけれど……。藪恵壹が見た、阪神キャンプ。<Number Web> photograph by Kyodo News

昨年は主に三塁、二塁で121試合の出場、打率.232と不本意な成績。今季は矢野新監督が遊撃手起用も視野に入れると明言している。

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藪恵壹

藪恵壹Keiichi Yabu

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Kyodo News

 タイガースは新しいシーズンに向けて、沖縄でキャンプを行っています。17年ぶりに最下位となって、監督が変わって迎えるキャンプですから、激変していてもおかしくない。むしろそういうことをやるチャンスだと思うのですが、私が見た限りでは、「変わってないな」という印象が拭えませんでした。

 金本(知憲)監督時代のように、ウエートトレーニングに比重を置くということはないですし、自主性を重んじるということで全体練習の後は午後3時くらいから個人練習になるという部分は変化なのかなと思いましたが、それでも内容はほとんど昨年までと同じように見えます。

 実戦では一塁、三塁ベースコーチを置かず、選手の判断力を育てるという試みもやっていましたが、やはり全体的には最下位だったチームにしては変化が少ない。まだ矢野(燿大)監督がどういう野球をやるのかは見えないですし、新監督の色が出ているとは言い難いです。

 そんな中で一番目立っているのが鳥谷(敬)ではないでしょうか。遊撃手を最優先に考えるということで、スタートから若手選手と一緒のペースで飛ばしています。キャンプ中盤の実戦にも自分から「いきます」と言ったようですし、「最初から飛ばしていきます」と話していました。

 矢野監督はキャンプを迎える前に、すべての選手が横一線の「競争」であると話していましたが、鳥谷はまさにそれを象徴している選手でしょう。

 ただ逆に言うと、「競争」という意識を感じるのは鳥谷くらいなんです。他のベテラン選手はやはり例年通りのペースですし、全員スタートラインが同じなんだという危機感、ギラギラした野心というのはあまり感じられませんでした。

マルテの実力がわかるのはこれから。

 昨年の今頃は新助っ人のロサリオの話題で持ちきりでした。それに比べると、今年の助っ人マルテは比較的、静かな環境でキャンプを送っているように見えます。実戦形式で最初から結果を出したのは期待を抱かせます。

 ただ、打ったのはストレート。これは昨年のロサリオと同じです。ロサリオも最初はそうだったんです。オープン戦までは外のストレートを打たせてくれる。ただ、そこからは変化球に対応できなければ、日本の野球で結果は残せないんだろうと思います。マルテの実力がわかるのも、まだまだこれから。昨年のロサリオのことがあるので、周りが慎重というか、静かなのはマルテにとってプラス材料かもしれませんが。

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