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巨人異例の契約保留者が示した、
戦力補強よりも大切なこと。

posted2018/12/08 17:00

 
巨人異例の契約保留者が示した、戦力補強よりも大切なこと。<Number Web> photograph by Kyodo News

今季は29試合に登板し、2勝1ホールドの田原。2011年ドラフト7位で入団した29歳。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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 このオフの巨人は凄まじい勢いで戦力補強を行っている。

 移籍市場の最大の焦点となっていた広島・丸佳浩外野手に西武・炭谷銀仁朗捕手という2人のFA選手に加えて、オリックスを自由契約になった中島宏之内野手の加入も決まった。新外国人選手はサンディエゴ・パドレスで今季20本塁打したクリスチャン・ビヤヌエバ内野手だ。

 そして12月6日には楽天と争奪戦を演じていた前シアトル・マリナーズの岩隈久志投手の入団が決まるというニュースも飛び込んできた。

 さらに難航はしているが、今季限りで退団したアルキメデス・カミネロ投手に代わるクローザー候補となる外国人投手の獲得調査も継続している。

 チーム編成の全権を与えられた原辰徳監督によるこうした精力的な補強の目的は、もちろん4年連続で遠ざかっているペナントの奪回であることは言うまでもない。

補強の後、新しいビジョンを……。

 まず勝つ。もちろん将来的なチームの青写真も描かれているが、まずやらなければならないのは勝つことである。

 極端にいえばチームが新しいビジョンに沿って動き出すのはその後からでもいいというくらい、勝利を求めた補強であることは、今の巨人の立ち位置を考えればやむを得ないのだろう。

 ただ、だとすればこの巨大補強の裏側で、不安材料は解消されていないことが気がかりだ。その不安材料を改めてクローズアップする出来事が、このオフの契約更改で起こった。

 11月27日に行われた契約更改交渉で田原誠次投手が契約を保留。巨人では実に7年ぶりの保留者が出るという異例の事態が勃発したのである。

【次ページ】 「毎年『来年は良くなるから』と」

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