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サッカーで輝く「切磋琢磨」の物語。
インハイ8強・桐光学園2年生コンビ。

posted2018/08/10 17:15

 
サッカーで輝く「切磋琢磨」の物語。インハイ8強・桐光学園2年生コンビ。<Number Web> photograph by Takahito Ando

佐々木ムライヨセフ(左)と西川潤。2人は同じピッチ上で、激しく競い合うように急成長しているようだ。

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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Takahito Ando

 8月7日に開幕し、ベスト8が出揃ったインターハイ。

 今年の開催地、真夏の三重県で切磋琢磨する高校生達の姿を、連日取材している。

 そのベスト8に残ったチームの中で、ある2人の選手のプレーに目が釘付けになった。

 神奈川県第2代表となった桐光学園でプレーする、MF西川潤と佐々木ムライヨセフの2年生コンビである。

 実は、数年前まで彼らの関係は「光」と「陰」だった。縁あって桐光学園にやってきた2人が、今では共に「光」となって輝き、全国大会のピッチに立っている。

「光」である西川は、1年時から名門・桐光学園で10番を背負い、攻撃の中枢に君臨していた。U-15、U-16日本代表でも中心選手としてプレーしており、すでに来年度の目玉選手としてJクラブのスカウトがこぞって獲得に乗り出そうとしている逸材だ。

 そして「陰」である佐々木は、今年の途中からレギュラーを掴んだ存在。1年時こそ出番がなかったが、左利きながら右足を器用に使い、相手の間隙を突いていくドリブルと瞬間的なスピードが魅力で、「ここに来て伸びて来た。かなり面白い存在」と鈴木勝大監督もその実力を認める。途中出場から徐々に経験を積ませてきており、このインターハイ予選からレギュラーに定着した選手だ。

 この2人に共通するのは、レフティーであること。

 そして、同じ横浜F・マリノスの下部組織出身であることだ。

ユース昇格の選手と、漏れた選手。

 西川は横浜FMジュニアユースで不動のエースを張り、当然のようにユース昇格の打診を受けていた。

 一方で佐々木は、横浜FMジュニアユース追浜でスーパーサブ的な存在にとどまり、ユース昇格を希望していたが、結局その願いは叶わなかった選手だった。

 この時は明暗がくっきりと分かれた2人だが、佐々木自身は「高校サッカーで自分を鍛え直して、絶対にもっともっと上手くなりたい」と誓って、桐光学園の門を叩くことにした。

 すると、そこで驚きのニュースが待っていたのだ。

【次ページ】 「自分に足りないのは気持ちの部分」

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西川潤
佐々木ムライヨセフ
桐光学園高校

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