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憲剛の予言的中。新人・守田英正が
大島僚太と“川崎の三角関係”に。
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/08/09 10:30
Jリーグ屈指の中盤構成力を誇る川崎。守田英正は大島僚太とともにフロンターレの未来を背負える素材だ。
鬼木監督は2人の推進力を買った。
リーグ再開前、大島と守田のコンビに期待する役割を鬼木監督に尋ねたところ、こんな風に口にしている。
「彼らの運動量、カバーの意識。そういうところで、前も後ろも力を持っていける2人。そこのところがバランスよく出れば良いですね。2人とも推進力がある」
かつて風間前監督がダブルボランチに求めていたのは、「ゲームコントローラー役」だった。ボールを失わずに握り続けるために、中村、大島、そしてネットをボランチで固定し続けた。
一方で鬼木監督が求めるのは、大島と守田によるコンビの持ち味をチームに還元すること。それが攻守両面の機動力であり、攻撃に厚みを加える推進力ということになる。
中断明け最初のリーグ戦となった北海道コンサドーレ札幌戦では、守田がゴール前に出て行く推進力と積極性を発揮し、小林へのアシストを記録。続くV・ファーレン長崎戦では、今度は大島が高い位置で攻撃に絡み、守田が後ろで重心を取るという縦関係が機能した。
「僚太くんが『こうしよう』と」
試合を重ねるごとに、両者の間に適切な関係性も構築されつつあるのだろう。大島もまずまずの感触を口にしていた。
「どっちかというと、守田が後ろにいた方が守備のバランスは良いし、やりやすさはあるのかもしれないですね。そこは自分と守田の関係だけではなく、憲剛さんも含めて、誰かが降りてきたら抜け出したりという関係を意識しています。守田が前に行ってチャンスを作っているシーンもあるし、誰かが背後にランニングをかける動きは、自分とネットとのときはなかったもの。そういった意味で、攻撃に関わるというのは守田のよさでもある。そこは消す必要はないと思ってます」(大島)
守田自身は、自分の武器をチームで発揮すると同時に、ボランチとしての引き出しを増やす作業に取り組んでいる最中でもある。例えば相手が出方を変えてきたときの対応力や試合運びなどは、隣にいる大島の指示に従っていると証言する。
「(大島が)すぐパパッと決めてくれるので、試合中はそれを遂行するだけです。内容は言えないですけど(笑)。例えば、相手の配置が変わったときに、自分たちの好きな形で守備をしている。でも、それを相手にかいくぐられたときに、『じゃあ、ああしよう』、『こうしよう』と僚太くんが言ってくれる。それでやっていますね」(守田)
もっとも、当の大島は「誰と組んでもできることは変わらないです。言葉が通じるので、しゃべりながらやれますし」と、守田とのコミュニケーションに関しては、多くを語ることはない。ただ彼もまた、ネットとのコンビ時代とは違った刺激を受けながら、自身の成長につなげているはずである。