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往年の名手アビダルがバルサ帰還。
使命はデンベレを覚醒させること。 

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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photograph byUniphoto press

posted2018/08/02 10:30

往年の名手アビダルがバルサ帰還。使命はデンベレを覚醒させること。<Number Web> photograph by Uniphoto press

バルサは今季もメッシ(右)ら豪華なアタッカーを並べる。2年目のデンベレは存在感を放てるか。

グリーズマンの獲得失敗で話し相手が。

 ひとつは、直接順位を争うことになるであろうアトレティコの戦力が落ちること。

 そしてもうひとつは、デンベレにフランス語で話せるチームメイトができること。

「いま、デンベレに必要なのは近くでアドバイスを与える者」と考えるバルサとしては、渡りに船である。レアル・ソシエダのカンテラを出て成長し、リーガ有数のスターにまで上り詰めたグリーズマンは、成功への道を間違いなく知っている。

 しかし、結局グリーズマンはアトレティコ残留を選んだ。

 そこで、いまクラブが頼りにしているのはトップチームの新強化担当として5年ぶりにバルサに戻ってきたエリック・アビダルである。

アビダル登用でデンベレをサポート。

 就任会見時、スポーツマネジャーのペップ・セグーラは、バルベルデやウムティティ、コウチーニョらを口説き落とした功績のある前任者ロベルト・フェルナンデスとの契約を延長せず、経験ゼロのアビダルを後釜に据えた理由について「バルサのOBであること」「チーム強化に関するUEFAのコースを修了していること」、そして「フランスの選手市場を熟知していること」を挙げていた。

 ただし、チーム関係者によると、真の理由は別にある。

 エスパニョール、ヘタフェ、トッテナムなどでチーム強化に尽力してきたラモン・プラナスを実務サポート役につけてまでアビダルを登用したのは、ずばり「デンベレを支え、然るべき方向へ導くため」だという。

「彼は感情豊かで、相手の心に訴えかけることができるタイプ。デンベレにとって大きな助けとなるだろう」

 アビダルも、自身の役目を自覚している。

「自分は監督と一緒にチームの管理もすることになるだろうから、選手と直接話すことにもなるだろう。自分は選手それぞれが抱える問題を嗅ぎ取り、正してやることができる。助けを必要としている選手には手を差し伸べてやれる」

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