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丸山茂樹が片山晋呉と話したこと。
「プロアマ、ホスピタリティとは」 

text by

丸山茂樹

丸山茂樹Shigeki Maruyama

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photograph byKyodo News

posted2018/07/24 16:30

丸山茂樹が片山晋呉と話したこと。「プロアマ、ホスピタリティとは」<Number Web> photograph by Kyodo News

日本ゴルフツアー機構は6月27日、片山への厳重注意と制裁金30万円を決め、謝罪会見。

なるべく素の自分を見せてほしい。

 何もアメリカと同じようにやろうと言うのではありません。日米プロアマ戦の違いは、言葉の文化の違いでもあるからです。

 年上を尊重する敬語という日本の文化は素晴らしいと思いますが、自然と「上下関係」を生んでしまうのです。つまり、ただでさえ、そういう土壌があるのに、今回のような問題を踏まえて「ホスピタリティ」という言葉を意識しようとすれば、ますます対等な交流から、かけ離れてしまうのではないかと、心配になります。

 僕が考える「ホスピタリティ」とは接客業のプロがやるような、かしこまったものではありません。言い換えれば、人と人との「近さ」です。お互いが、人として当たり前に、ラウンドを楽しもうという気持ちを持った上で、冗談を言ったり、「◯◯さんは、もっとこうした方がうまくいきます」と声をかける。

 その上でプロが「1球、練習してもいいですか?」と聞けば、ダメだというアマチュアはいないと思います。

 逆にかしこまれば、かしこまるほどプロゴルファーの持っている個性は消えて、お互いの距離も開いてしまう気がします。

プロもアマもお互いの距離を近づけてほしい。

 プロアマ戦を成功させ、スポンサーに満足していただくことは絶対にやっていかなければいけません。

 ただ、今の若い選手は、自分のお父さん以上の年齢の人とプロアマ戦をすることになります。緊張もすると思います。その中でラウンドするアマチュアの方がいる業界のトピックスを調べて話題にするなど努力をしつつ、なるべく素の自分を見せて、相手と距離を近づけてほしいです。

 そして願わくば、アマチュアの方も、それができていないプロがいたら怒って帰ってしまう前に一度、「君、それではダメだよ」と人生の先輩として教えていただけたら、ありがたいです。

(Number957号『丸ちゃんのGreen Talk(グリーン・トーク)』より)

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