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トーレス鳥栖入団は最高の贈り物!
日本サッカーが学びたいFWの真髄。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byAFLO

posted2018/07/20 10:30

トーレス鳥栖入団は最高の贈り物!日本サッカーが学びたいFWの真髄。<Number Web> photograph by AFLO

アトレティコからリバプール、チェルシー、ミラン。代表では110試合38得点の男はどんなパフォーマンスを見せるか。

周囲との連係を重視する万能型。

 スペイン代表として獲得したタイトルは、イニエスタとまったく同じだ。アトレティコ・マドリーを起点に、世界的なビッグクラブを渡り歩いてもきた。

 近年は途中出場が多い印象で、34歳という年齢を考えれば全盛期は過ぎている。しかし、ストライカーとしての魅力は薄れていない。

 DFの背後を、タイミング良く突くことができる。フリーランニングの加速力がある。豊富なパターンから、フィニッシュへ持ち込むことができる。前線から積極的に守備をする──すぐに思い浮かぶだけでも、これだけの長所がある。

 万能型のストライカーではあるものの、攻撃のすべてをひとりで完結できるタイプではない。周囲とのコンビネーションの構築は不可欠だ。「チームメイトを知り、チームのスタイルを知り、実際のプレーのなかでより良く理解をしていきたい」と、トーレス自身も話している。

 ロシアW杯に伴う中断までに15試合を消化したJ1リーグで、サガン鳥栖は3勝4分8敗の17位に低迷していた。15試合で14得点にとどまる得点力不足の改善が、J2降格圏から抜け出すポイントになる。

「チームメイトと結束、努力を」

 そのために招かれたのがトーレスだが、34歳の経験者は「自分ひとり入っただけで、チームが急に強くなるとは思わない」と冷静だ。ゴール数の目標も「そういう設定をしたことはない」と語り、「チームのために貢献して試合に勝つことが大事。最終的な目標は試合に勝つこと。そのために、チームメイトと結束して努力することが大事だと思う。それが結局は、結果につながるから」と続ける。

 イニエスタのような芸術家肌のMFは、1本のパスが観衆への強烈なメッセージになる。彼のパスがゴールにつながらなくても、チームが敗れることがあっても、観る者を納得させることができる。

 ストライカーはそうもいかない。相手のゴール前でどれほど素晴らしい動き出しをしても、パスが出てこなければ観衆の記憶に長くとどまることはない。パスが出てきてもシュートを外せば、歓声ではなくため息を浴びることになるのが、およそ一般的なパターンである。

 ストライカーに対するそうした見方が、トーレスによって変わるかもしれない。

【次ページ】 FWの動きへの理解が深まれば。

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