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子どもをスタジアムに呼ぶために、
もっとオールスターの地方開催を!

posted2018/07/20 07:00

 
子どもをスタジアムに呼ぶために、もっとオールスターの地方開催を!<Number Web> photograph by Kyodo News

オールスター第2戦の試合開始前に、選手たちが熊本地震の犠牲者に黙とうを捧げた。

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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Kyodo News

 7月14日、初めて熊本で行われたオールスターゲームを取材した。始球式に臨んだ、託麻フェニックス主将の野中颯太くん(12歳)が試合前に、グッとくるスピーチを行った。

「僕たちが学校に行けるのも大好きな野球ができるのも、たくさんの支援のおかげです。全国の皆さん。熊本は、元気です!」

 筆者の生まれ故郷でもある熊本が震度7の揺れに2度も襲われてから2年3カ月が過ぎた。現在でも7600人以上の人々が仮設住宅での暮らしを余儀なくされており、みなし仮設でも2万人以上の方々が生活をされている。

 阿蘇地域と熊本市街地を結ぶ大動脈の国道57号線は阿蘇大橋付近の山崩れにより寸断されたままで、復旧にはまだ数年を要する見通しだ。また、県民の心のシンボルでもある熊本城の石垣はあらゆる場所で崩れたままになっている。

 天守閣も復旧工事の為に足場が組まれており、てっぺん部分をわずかに拝むことができるだけだった。

地方球場は圧倒的に若者が多い。

 その熊本城の横にあるリブワーク藤崎台球場で開催された球宴で、改めて感じたことがあった。地方球場の客層は、12球団フランチャイズ球場に比べて圧倒的に若者が多いのだ。

 この試合では外野芝生席のチケットは一般発売がなく、熊本地震復興支援の一環として野球少年と野球少女を対象とした約3300人の招待エリアとなっていたが、それを差し引いても球場周辺では親子の姿が本当に目立った。

 熊本城の二の丸広場で行われたパブリックビューイング会場でも家族連れはもちろん、学生と思われる若者グループがあちこちで散見されたのがかなり印象的だった。

 都市部に住むと実感が薄いと思うが、地方の場合「ちょっと足を延ばせば……」と言われても交通の便も運賃も格段に違う。居住地域によって、プロ野球の観戦環境格差はかなり大きい。

【次ページ】 プロ野球が自分の街にくる嬉しさ。

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松中信彦

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