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鎌田大地、ブンデス1年目を終えて。
「帰りたい気持ちは一切ない」 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byAFLO

posted2018/07/23 10:30

鎌田大地、ブンデス1年目を終えて。「帰りたい気持ちは一切ない」<Number Web> photograph by AFLO

20歳でフランクフルトに移籍し、ドイツカップの優勝も経験した。鎌田大地が日本代表世代交代の先頭に近い位置にいることは間違いない。

心の支えは妻、テレビ、ユーチューブ。

 心の支えになったのは昨年5月に結婚した妻の存在。しかし妻が日本に帰って1人になるときは、まぎれていた精神的な苦しみがダイレクトにつきまとった。たとえ「うまくいかないことはいつもどおり」だと分かっていても、抑え込むまでに時間を要することもあった。

 日本の好きなテレビ番組がある。

 テレビ朝日の情報バラエティー「激レアさんを連れてきた。」。タイトルどおり、激レアの経歴を持つ人を紹介する番組だ。50歳からベンチプレスを始め、世界チャンピオンになった「給食のおばちゃん」の回などは、興味津々で観たという。

「異端児とか、変わった経歴を持っていて、でもみなさん苦労していて共感できる部分って凄く多い」

 テレビ番組も、ユーチューブも、漫画も。全方位にアンテナを張りめぐらせて、自分の気持ちを掻き立てようとした。

1年が長く感じるのは濃かったから。

「確かに(精神的には)しんどくて、1年って長いなって思いました。でも逆に言えばそれほど濃かったということ。よく聞くじゃないですか。人生をやり直したいとか、高校のときに戻りたいとか。でも僕はそう思わない。やり直したくないし、戻りたくない。特に高校のときなんてしんどすぎましたから(笑)」

 やり直したくない、戻りたくない。

 フランクフルトはポカール決勝でバイエルンを撃破して優勝を成し遂げた。チームに貢献できなかったため、心の底からは喜べないと思っていた。だがフランクフルトでのパレードを体験した際、素直に喜びが溢れ出た。濃すぎる1年を乗り越えてきた実感があるからこそ、そう思えたのかもしれない。

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