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ハース快走の陰に、この日本人アリ。
F1界で活躍する“サムライ”富塚裕。

posted2018/07/16 09:00

 
ハース快走の陰に、この日本人アリ。F1界で活躍する“サムライ”富塚裕。<Number Web> photograph by Masahiro Owari

ブリヂストンを退社し、イギリスに移住してF1界で働くことを決めた富塚裕。

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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Masahiro Owari

 昨年のシンガポールGPでの偶然の再会が、のちにあるチームを大きく変えるきっかけを作った。

 ハースのチーフレースエンジニアを務める小松礼雄が出会った相手は、かつてブリヂストンでモータースポーツ・モーターサイクルタイヤ開発本部長を務め、2012年から3年間、フェラーリでビークル&タイヤインタラクション・デベロップメント担当エンジニアとして活躍した浜島裕英だった。

'14年末にフェラーリを離脱した浜島は、その後、日本でSUPER GTとスーパーフォーミュラに参戦するセルモの総監督として活躍している。と同時に、ブリヂストン時代から行なっているF1のテレビ解説やトークショーなどをいまも続けており、F1の世界ではいまでもタイヤのエキスパートとして知られた存在だ。

 その浜島を見つけた小松は、ある相談を持ちかけた。それは「誰か、いいタイヤエンジニアを知りませんか?」というものだった。

元ライバルにして、お互いに尊敬する間柄。

 小松は'03年にBARホンダでF1でのキャリアをスタートさせた。BARホンダは翌年の'04年より、ブリヂストンからミシュランにスイッチしたため、浜島と小松が一緒に仕事をする機会はほとんどなかった。

 さらに小松は'06年、テストチームのタイヤエンジニアとしてルノーに移籍。この年のタイトル争いはミシュランを履くフェルナンド・アロンソ&ルノーとブリヂストンを履くミハエル・シューマッハー&フェラーリの一騎打ち。

 2人はライバルとして戦った経験を持つのだ。

 だが、それが故に、お互いがお互いを尊敬する関係でもあった。

【次ページ】 共通の哲学は「タイヤを制する者がレースを制する」。

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