変革の時を迎えていた日本通運の野球部。

　16年ぶりに戻った古巣に「変革」のときが訪れているのも感じた。

　現在、日本通運が練習するグラウンド付近では大規模な工事が行われている。球場のすぐ隣に選手寮を、さらにはこれまでなかった室内練習場も設置しようと会社は動いている。

「うちの会社は野球部を凄くバックアップしてくださっていて、選手たちは本当に恵まれていると思います。今回、球場も新しくなりましたし、野球をする環境としては本当に最高です。

　今までのグラウンドもけっして悪かったわけじゃないですけど、それまでよりだいぶ良くなっていると思います。だから、まずは都市対抗に出て、日本一になるという結果を出したい。そこで会社に本当の意味で感謝を示したいですよね」

　7月13日開幕の都市対抗野球本大会に向けて決意を語った。

武田のアドバイスでさらに飛躍した生田目。

　現在、チームには阿部良亮、生田目（なばため）翼をはじめとしたプロ注目の投手が複数いる。

　今年6月に行われた都市対抗野球南関東予選では、入社2年目23歳の生田目翼が活躍。初戦の新日鐵住金かずさマジック戦では4安打完封、第2代表決定戦のJFE東日本戦でも先発で8回を無失点に抑える好投で、本大会出場に大きく貢献した。

　彼の飛躍の背景には当然、武田も関係している。

　生田目が話す。

「それまではブルペンで100点の球を投げたいという意識が強くて、アウトコースの低めいっぱいに強い球を投げる意識でいつもやっていたんです。だけど、武田さんが来てから『コースに投げさえすればなんとかなるから、100点満点のボールじゃなくて良いから70～80点のボールを常にコースに投げてみろ』と言ってもらって、そこから高さを気にしないようにしたんです。そのことが凄く勉強になりました。

　自分の中でもここでボールを放せばという感覚も徐々に掴んできていますし、実際、試合でも高さが少々甘くてもコースに行ったから打たれなかったり、ファールが取れたりしたこともあったので、その辺も今回大きかったと思います」

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