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W杯と日本代表と本田圭佑を観てたら
阪神タイガースが頭に浮かんだ。 

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鈴木忠平

鈴木忠平Tadahira Suzuki

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photograph byKyodo News

posted2018/07/12 17:00

W杯と日本代表と本田圭佑を観てたら阪神タイガースが頭に浮かんだ。<Number Web> photograph by Kyodo News

6月3日にロサリオと入れ替わりで一軍昇格し、同日の西武戦で2ランを放った陽川尚将。7月11日現在で、打率3割3分7厘、3本塁打、23打点。

タイガースの選手に降り注ぐ膨大な視線。

 じつは彼も長らく批判の対象になっていた。2013年のドラフト3位。当時、その順位であれば、広島カープの連覇に貢献し、侍ジャパンにも選ばれている田中広輔(JR東日本)が指名できた。

「なんで田中を獲らんかったんや」

 球団内部では議論になった。その後、赤いユニホームで田中が躍動すればするほど、陽川との明暗がはっきりすればするほど、論争に拍車がかかった。

 彼はそういう中で、じっと力をつけ、ようやく、ここまで来たのだろう。

 これは私見だが、おそらくタイガースの選手たちは、海外のリーグに挑戦しているサッカー選手たちの何倍もの視線と報道に晒されている。その中をまるで鯉の滝のぼりのように遡上して、天国と地獄が同居する大甲子園で結果を出し、強面のベテランを蹴落とさないといけないわけだ。

 厳しいのは百も承知だ。ただ、もし、それが成れば、猛虎にもロシアの日本代表のような劇的な変化が訪れるのでは……。ピッチに転がるサッカーボールを眺めながら、なぜかそんなことを考えてしまっている自分がいた。

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