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八村&ファジーカス加入で劇的変化。
歴史的勝利が導くバスケ代表の未来。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2018/07/09 11:00

八村&ファジーカス加入で劇的変化。歴史的勝利が導くバスケ代表の未来。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

世界ランキング10位(アジア1位)の豪州戦。序盤から強気の攻めを見せて日本代表チーム全体にスイッチを入れた八村塁。

八村の目に写った、自信が無いチームメイト達。

 八村は、この試合で試合開始から意識して強気の攻めをした。

 自分が出られなかった1次予選の最初の4試合、特にオーストラリアとの試合を見て、日本の選手たちに攻め気が感じられず、自信なさそうにプレーしているのが目につき、自分がやらなくてはと思ったのだという。12年前の竹内ができなかったことを、ひょいとやってのけたのだ。

 試合後、八村はこう言い切った。

「僕が最初に(強気に)行って、チームメイトに自信を与えられたらいいなと思ってやりました」

 20歳という若さながら、アメリカの強豪校・ゴンザガ大での2年間で大きく成長した八村は、昨季はオーストラリアから来ているライバル校のエース相手に活躍し、むしろ圧倒していたほどだった。それだけに、オーストラリア人選手は特に組みにくい相手というイメージはなかった。'14年のU17世界選手権でもオーストラリアと対戦しているが、試合にこそ敗れたものの、オーバータイムにまでもつれる激戦を戦っている。むしろ、今回はそのリベンジを果たしたいという志を持っていた。

八村とはまた異なる強さを持つファジーカス。

 33歳のファジーカスは八村のような若い野心とは別の、経験から来るメンタルの強さを持っている。

 偶然の要素で試合が決まることが少ないバスケットボールという競技だが、1試合だけなら実力で上回るチーム相手に勝つことはある。

 ファジーカス自身、ネバダ大時代にNCAAトーナメントで上位シードのチームに勝ったこともあった('04年には、当時第10シードのネバダ大を率いて、第2シードだったゴンザガ大にも勝っている)。練習の時から、オーストラリア相手でも、自分たちには勝つチャンスがあると、チームメイトたちを励ましていた。

「ルイと僕は、失うものは何もないという気持ちでやってきたんだ。僕らが入った時点でチームはすでに0勝4敗だった。ルイと僕はそんなチームの流れや、以前から続いていたカルチャーを変えるために加わった」と、そのメンタリティを説明した。

【次ページ】 「僕らも勝てるということをみんなに伝えた」

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