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クロアチア、死闘制し20年ぶり4強!
モドリッチ&ラキティッチこそ心臓。 

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杉山孝

杉山孝Takashi Sugiyama

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photograph byGetty Images

posted2018/07/08 11:45

クロアチア、死闘制し20年ぶり4強!モドリッチ&ラキティッチこそ心臓。<Number Web> photograph by Getty Images

ロシア戦のマンオブザマッチに輝いたモドリッチ。試合後には子どもたちと喜び合う愛くるしい光景も。

モドリッチのハートに火をつけたプレー。

 その背番号7に負けぬほど、モドリッチも今大会ここまで守備でも献身してきている。だが、この日の守備は悔しさから始まった。

 31分のロシアの先制点は、決めたデニス・チェリシェフを褒めるべきだろう。こぼれ球を拾ってジュバに預けたあと、さらにリターンを受けてからも足を止めない。好調ロシアを象徴するMFは、ドリブルから見事なミドルシュートをゴール左上に決めている。この場面、ドリブルに移ったチェリシェフへのスライディングタックルをかわされていたのが、モドリッチだったのである。

 このプレーが、背番号10のハートに火をつけたのかもしれない。相棒ラキティッチとともに、チームの心臓が鼓動を高める。

 2人の関係は絶妙だ。1人が出れば、一方が引く。後方から守りどころとロングパスの送り先を探すようになったラキティッチの分まで、モドリッチの前に出るタイミングが増える。さらにはゴール前へと進出し、果敢に放ったシュートは3本に上った。

延長戦に入ってから鬼気迫るドリブル。

 モドリッチの鬼気は、周囲に疲れが見えてくる延長戦に、より鮮明になっていく。きっかけは、最後の交代枠だ。延長前半早々にヒザを痛めた様子の右サイドバック、シメ・ブルサリコが自ら交代を要求したとおり、4枚目のカードは最終ラインに使わざるを得なくなった。攻撃陣の投入の機会は失われた。

 最後の交代カードが切られた直後のことだった。モドリッチがロシアのボックス手前で弾き飛ばされる。何かに取りつかれたかのように、突然低い位置からドリブルで突進してロシアゴールへ迫ろうとしていたのだ。

 その4分後にも、モドリッチはドリブルを敢行する。右サイドで急激にギアを上げると危険な香りでロシアDFを3人、4人と引きつけ、フリーになったビダにパス。そのクロスから奪ったCKで、逆転ゴールが生まれた。

【次ページ】 エースの働きに触発されたチームも動く。

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