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オカダ戦は、まるで『七人の侍』!
鈴木みのるが白い衣装に込めた思い。

posted2018/07/06 10:30

 
オカダ戦は、まるで『七人の侍』!鈴木みのるが白い衣装に込めた思い。<Number Web> photograph by Masashi Hara

鈴木みのるの30年が詰まったオカダ・カズチカとの戦いは、見る者の心に何を残したのだろうか。

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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Masashi Hara

 まさに雨中の決闘だった。

 6月23、24日の2日間にわたって横浜赤レンガ倉庫前イベント広場で行われた、鈴木みのるデビュー30周年野外フェスティバル『大海賊祭』。

 プロレスの試合をはじめ、鈴木みのると親交の深いミュージシャンのライブステージ、お笑いライブ、トークショー、さまざまな一流スポーツ選手によるワークショップなど、盛りだくさんなプログラムを、すべて無料で公開する前代未聞のこのイベント。

 初日の超目玉は、鈴木みのるの30周年記念試合として組まれたオカダ・カズチカとの一騎打ちだった。

 これは、新日本プロレスのビッグマッチでメインイベントとしても組める最高峰の試合を、プロレスを初めて観る人や、子供たちにも観てもらいたい。そんな強い思いから、鈴木自らが交渉し実現にこぎつけた、こだわりのプレミアムカードだ。

 しかし『大海賊祭』初日の6月23日は、午前中から雨模様。午後からは本降りとなり、鈴木vs.オカダが始まる前には大粒の雨が容赦なく降り注いだ。

 試合をするには最悪のコンディション。ところがこの雨が、結果的に最高の演出となった。

ずぶ濡れになりながら30分フルタイムの戦い。

 土砂降りの中、雨ですべるリングで必死に闘う鈴木とオカダの姿は、まるで映画『七人の侍』の決闘シーンのよう。それを見守る観客も皆、ずぶ濡れになりながらの観戦。これがリング上のレスラーと観客たちとのある種の共通体験となり、これまでにない一体感が生まれたのだ。

 試合は30分フルタイムを闘い抜いての時間切れ引き分け。雨に打たれながら、五感でこの30分間を“体験”した観客にとって、生涯忘れられない試合となっただろう。

 それはおそらく、リング上で闘った鈴木とオカダも同じはずだ。

 このオカダ戦で、鈴木みのるは白のショートタイツと白のリングシューズ姿で登場した。“白”は、鈴木が「ここぞ」という時だけ着用する特別なコスチュームだ。

【次ページ】 キックボクサーに心を折られた因縁の白。

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