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ゴルフ界で始まったAbemaの挑戦。
男女の勝負、出身地、長時間放送。

posted2018/07/05 16:30

 
ゴルフ界で始まったAbemaの挑戦。男女の勝負、出身地、長時間放送。<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

AbemaTVの放送ブース。伝統と変革、ゴルフ界に彼らはどんな影響を与えるのだろうか。

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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Yoichi Katsuragawa

 スポーツの世界において、男と女の実力差はどれほどのものか。

 なかなか窺い知ることのできない興味だが、ボディコンタクトのないゴルフはそれを垣間見ることのできる数少ない競技かもしれない。パワーの差はいかんともし難いが、高い技術があれば、それも幾分かは埋められる可能性がある。

 米女子ツアーを主戦場としてきた横峯さくらと宮里美香は今年、それぞれ日本で男子プロの試合に参加した。どちらも予選落ち(宮里は2試合)に終わったが、いずれも彼女たちよりも悪い成績で終えた男子プロがいたのも事実である。

 10年以上前に日米で事例があった女子選手の男子大会出場というのは、今年の春もそれなりに話題になった。そうはいっても、横峯と宮里が出場したのは石川遼らが戦う日本の男子レギュラーツアーではない。その下に属するいわば“二軍ツアー”だった。

下部ツアー全試合の中継権をAbemaTVが取得。

「AbemaTV(アベマティーヴィー)ツアー」をご存じだろうか。

 世界のプロゴルフツアーは、各ツアーのトップ選手が出場する大会の集合体を一般的にレギュラーツアーと呼ぶ。一方で、そのトップツアーの年間出場権を持たない選手たちが、将来の飛躍を夢見て腕を磨くのが下部ツアー。米国ではPGAツアーの下にWeb.com(ウェブドットコム)ツアーが属している。

 昨年まで「チャレンジトーナメント」という名称だった日本男子の下部ツアーは、今年からAbemaTVツアーへと改称された。サイバーエージェントとテレビ朝日の共同出資により2016年に開局されたインターネットテレビ(動画配信)事業を手掛けるAbemaTVが、ネーミングライツとともに、全試合を中継する権利を取得した。

 ただの二軍戦……と、侮ることなかれ。これまで、一般的には見向きもされなかったような若手の登竜門が今、少しずつ変貌を遂げているのである。

 年間25試合のレギュラーツアーに対し、日本の下部ツアーは近年10試合前後で推移している。ただこれまでは2日間36ホール競技も多かったのに対し、“新装開店”のAbemaTVツアーでは12試合すべてが3日間54ホール競技になった。

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