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スノーボーダー・竹内智香がこれからも貫く“自然体”の自分。

posted2018/07/04 13:40

 
スノーボーダー・竹内智香がこれからも貫く“自然体”の自分。<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

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Shigeki Yamamoto

 1998年、長野五輪でスノーボード・アルペンを見て、同種目での五輪出場を目指すようになった竹内智香。見事、4年後のソルトレークシティ大会で日本代表に選出されると、今年の平昌大会まで5大会連続で五輪に出場。2014年のソチ大会では銀メダルを獲得し、スノーボード競技で日本人女性初となるメダリストとなった。

 だが、その競技人生は順風満帆なことばかりではなかった。ソチ五輪後には、アスリート人生を左右しかねない前十字靭帯断裂という大怪我も負った。そんななかでも、前向きにリハビリに励み、驚異的な回復力で競技へと復帰。危機的状況のなかでも変わらない、彼女のポジティブな姿勢と強靭な精神力はどこから来ているのか。

 よくみんなに“前向きだね”って言われますけど、多分誰よりも弱いし、誰よりも崩れ落ちることを分かってるから、前向きなんです。弱いところは見て見ぬふりをして、前向きになれるところだけを見ようという考えを持ち続けていて、それは競技に限らず、プライベートでも、全ての面においても一緒。もちろん、生きていれば苦しいことに直面することもあるし、目をそむけたくなるシチュエーションもたくさんあります。でも起きてしまったことは偶然じゃなく必然で、それをどうプラスに変えられるかを考えるようにしています。

 怪我をしたときもそうでした。前十字靭帯断裂ってすごく重い怪我で、リハビリで苦しんでいるアスリート仲間もたくさん見てきていて。もし自分が同じ状況になったら、やめるときだろうって思っていたにも関わらず、実際に切ってみると“あ、切っちゃった”ってすごく軽く受け入れることができた。見方によっては、もう選手生命終わったかなとか、オリンピックに間に合わないかなって悲壮感を漂わせることもできると思うんです。

 でも、怪我をしたことで1回しっかりと休んで、2年後の平昌オリンピックに向けて準備ができるんだって考えれば、怪我もプラスの要素に変えられる。とにかくネガティブなことが起きたときは、どうそれをポジティブに転換できるか考えています。今はリハビリも順調にできて、たまに腫れたりはしますけど、不自由もなく、怪我をしたなかではすごくいい結果じゃないかな。

ひとつひとつの仕草で気持ちを整える。

 もちろん、忙しかったり、自分と向き合う時間がないときもあります。そういうときって、色々なことに目がいかなくなり、余裕がなくなってしまう。だからバスタブにゆっくりとつかってみたり、お香を焚いたり、朝や寝る前にお茶を一杯飲んだりする時間を作るようにしています。些細なことですけど、ひとつひとつの仕草って気持ちを整えるうえで、すごく大事。そういう時間は贅沢だし、人として必要なことだと思っています。

 睡眠時間をしっかりと取ることも意識していて、私は最低でも7時間は寝ています。今はインターネットやスマートフォンなどで目や脳を使う時間が増えていて、すごくストレスがかかっていると思うんです。真っ暗な中で目を閉じて、何も考えない、無になる時間って貴重なので、睡眠時間は必ず確保しています。

【次ページ】 やりたいことを見極める、大きな分岐点。

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竹内智香

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