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ダルが称賛された「Class Act」。
マイナー登板後の弱気と感謝の印。 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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photograph byKyodo News

posted2018/07/01 08:00

ダルが称賛された「Class Act」。マイナー登板後の弱気と感謝の印。<Number Web> photograph by Kyodo News

負傷に苦しんでいる今シーズンのダルビッシュだが、アメリカの通な野球ファンはその実力を認めている。

試合後の表情は少し困惑していた。

 ところが――。

「結果としては良かったけど(状態は)100パーセントとは言えない」

 試合後のダルビッシュの表情は、少し困惑したような感じだった。

「イニングの間、5分、10分と開くので、冷えてしまうというか、どうしても、イニングの前に5球とか6球投げる時に結構、(患部に)くるんで。最初の打者とかは気にしながら投げなきゃならない。

 でも……トレーニングもそうですけど、上のレベルに行くには筋肉痛じゃないけど、負荷をかけなきゃいけないから、負荷をかけてから急に良くなったりする可能性もあるので、それを望んで、出来ることは全部やっていきたい」

 最後はポジティブな言葉を口にしたが、その響きは明るくない。

「まあ、最終的には僕の判断になるんだろうけど、早く戻らなきゃという気持ちはあるから。奥さん(聖子夫人)とかは『もう痛いんだったら仕方ない』と言ってくれるし、そうあるべきなんだろうけど、いろんなことを考えちゃう。“長い契約してるし”とか、そういう気持ちが邪魔をする。昔の自分だったら、痛いから投げられへんしってなるけど……うまいことできてない」

「何をすればいいのかが、なかなか」

 今年2月に6年総額1億2600万ドル(日本円で約138億6000万)の大型契約を交わし、今季ここまで8試合に登板して1勝3敗、防御率4.95という成績は、それだけでも充分に本人を失望させている。そこに2度のDL入り(1度目はインフルエンザに似た症状)という事実が重くのしかかる。

「これで復帰していいのか……周りの人はMRIに炎症もないから、そのうち良くなってくるよ、みたいなことを言うけど、そういう気配もないから……何よりも回復が遅い。ブルペンとかこうやって投げちゃうと、もう、いろんな事やってんだけどなかなか……分からないですね。何をすればいいのかが」

 クールなイメージでポジティブな言葉を並べるはずのダルビッシュが、意外なほど弱気な言葉を並べる。

【次ページ】 両チーム選手への「Class Act」。

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ダルビッシュ有
シカゴ・カブス

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