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3時間待たされ停電中止、翌日先発。
マエケンはツイてなくても前向き。 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2018/06/23 11:30

3時間待たされ停電中止、翌日先発。マエケンはツイてなくても前向き。<Number Web> photograph by AFLO

3時間も待たされての試合中止。それでも前田健太は翌日の先発で最低限の役割を果たした。

雨が降り出し、停電まで頻発。

 雨が降り出したのは、当初の試合開始時刻から1時間を過ぎた頃だった。「定刻に始めていれば、もう3回は終わっていたはずだけどな」と取材席のあちこちから声が挙がる。そして、雨が止んだら試合開始になるのかと思いきや、一部の照明が落ちた。停電である。

 その頃、前田は「停電が回復したら試合を始める」と関係者に聞かされていた。2時間が過ぎて、停電が回復する。とりあえず、ウォーミングアップを始める。ところが今度は他の場所で停電が起きた。

 日中は35度前後まで上がった気温が、25度前後まで落ちていた。当然、体が冷えるのも早くなる。3時間が過ぎようかという頃、再び停電が回復する。慌ててウォーミングアップを再開するが、また原因不明の停電。さすがにここで「試合中止」の決定が下されたのだ。

 中止になった試合は、翌日のダブルヘッダー第1試合に振り分けられた。開始時間は正午過ぎである。

 そこでドジャースのデイブ・ロバーツ監督は「前田は1試合目に投げる」と明言した。

DLから復帰2戦目で「痛みはないけど」。

 ホテルに帰った前田は、なかなか寝付けなかったという。気持ちを前面に出して投げるタイプで、試合に入れるようにウォーミングアップを何度も済ませていたのだから仕方ないだろう。

 過去にも開始時間が大幅に遅れて、午後11時ぐらいから試合が始まったこともあり、心の準備はできていた。だが、試合が始まるのか不確定な状況で待ち続けた挙句、中止が決定したことは経験がなかった。

 スイッチを入れたり、切ったり。気持ちを入れたり、抜いたり。難しい状況の中、前田は朝を迎えた。

 ただでさえ、万全ではなかった。前田は右の股関節の張りで故障者リスト(DL)入りし、これが復帰2戦目の登板だった。復帰した13日のレンジャーズ戦では5回5安打2失点のピッチングを見せたが、「痛みはないけど(患部を)自然とかばってしまう」と話していたが、それはこの日も同じだった。

 もう「痛み」はないのに、体が自然と「怪我の再発」を怖がっていた。

【次ページ】 「結構難しい登板ではあったけど」

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前田健太
ロサンゼルス・ドジャース

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