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オタメンディと尻を蹴り合った仲!?
母国アルゼンチン優勝を願うJ戦士。 

text by

杉園昌之

杉園昌之Masayuki Sugizono

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2018/06/20 08:00

オタメンディと尻を蹴り合った仲!?母国アルゼンチン優勝を願うJ戦士。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

アイスランド相手にドロー発進となったアルゼンチン。エスクデロ競飛王やラリベイらの願いはかなうだろうか。

ラリベイらも「メッシが輝き、優勝する」

 偶然にも時を越えて、そのオタメンディと交差していたアルゼンチン人Jリーガーがいる。ジェフユナイテッド千葉の点取り屋として活躍するラリベイは、ベレス時代のチームメイトだったという。

「一緒にタイトルを取ったこともあるんだ。当時、彼はユースからトップチームに昇格してきたばかりで若かったけど、強烈な印象が残っている。能力が非常に高くて、将来は必ず代表に入る逸材だと思っていたよ」

 ラリベイは母国の優勝に思いを馳せ、「今回は期待しかない」と胸を躍らせていた。

 ここまでくれば、同じ千葉のアルゼンチン人GKディエゴ・ロドリゲスにも現代表に縁のある人を聞いたが、さすがにオタメンディとの濃い接点はなかった。ただ、Jリーグでプレーするアルゼンチン人たちの思いは1つ。

「メッシが輝き、優勝する」

“マラドーナの大会”を知らない'89年生まれのロドリゲスは、まだ見ぬ歓喜の瞬間を思い浮かべると、にやりと笑った。

「きっと何も考えずに走り出してしまうだろうね」

マラドーナを完璧に超えてほしい。

 '86年6月29日。メキシコW杯決勝で西ドイツを下した瞬間、興奮して家から飛び出し、まさに町中を走り回っているアルゼンチン人がいた。ロドリゲスのような人たちでアルゼンチン国内はあふれ、街行く人たちは互いに抱き合い、知らない人同士がキスして祝っていたという。

「'78年大会の優勝も見ているが、'86年大会は特別だったよ。準々決勝のイングランド戦で勝ったときは、私も含めてみんな泣いて喜んでいた。フォークランド紛争のこともあったからね。マラドーナは神だった。優勝した瞬間も忘れることはできない。あの光景はいまでも脳裏に焼き付いている。

 あれから、私たちはずっとずっと待っているんだ。それだけに、今回は楽しみで仕方ない。メッシは私たちの世代の英雄であり、ヒーローのマラドーナをすでに超えている。個人的にはそう思っている。ロシア大会で優勝に導いたとき、母国のみんなが完璧に超えたと思うだろうね」

 アルゼンチンで生まれ育った54歳。マラドーナ世代のエスクデロ競飛王の父親から出る言葉には説得力があった。そして、弾む声には大きな期待もにじんでいた。

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