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松坂大輔を小学校からずっと追う男。
小谷野栄一「1年でも長く対決を」 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKyodo News

posted2018/06/15 08:00

松坂大輔を小学校からずっと追う男。小谷野栄一「1年でも長く対決を」<Number Web> photograph by Kyodo News

5月30日のセ・パ交流戦の対中日で13年ぶりに松坂と対決。'05年の1度目の対戦では2打数無安打1四球だった。

「松坂世代に加われただけで嬉しい」

「正直、現状ではまだ去年より体が動いていない。でもそんなことを言っていられないし、結果が出ないから悩んでます、苦しんでますという顔をするのがベストなことじゃないと思う。特に後輩が増えて一番上になっちゃったから、そういう姿を見せることによってプラスになることはいっさいないし、そんなことしたら、せっかく楽しい野球が楽しくなくなっちゃう。どんな状況でも使っていただいている限りは、全力で、1日に何か1つでもチームのためになることを、と思ってやっています」

 そうした姿勢の積み重ねで、プロ16年目、37歳の今がある。

「“松坂世代”と呼ばれている中にいられることは喜びだし、誇りです」

 以前、小谷野はこう語っていた。それは、遅れてきた松坂世代だからこその感情かもしれない、とも言った。

「高卒でプロに入って、一緒に同レベルでやってきた人の中には、“松坂世代”という、松坂がトップだという言い方に、悔しがっている人間もいたと思います。特に若い頃は。でも僕は大卒で入ってきたほうだから。高卒で入ったみんながあれだけ活躍していた中に、あとから入って、なんとかやれるようになって、松坂世代と呼ばれる中に加われただけで嬉しい。この歳になってまだその中の1人に入れていることは喜びだし、誇りに思っています」

少年野球での対決を思い出した。

 小谷野はかねてから、日本球界に復帰した松坂との対戦を熱望していた。

「そりゃやりたいですよ。ずっと追い続けてきましたから」

 今年5月30日、ついにその日がきた。ナゴヤドームで行われた交流戦の中日戦で、松坂対小谷野の同級生対決が実現したのだ。小谷野が北海道日本ハム、松坂が埼玉西武に在籍していた'05年9月7日以来、実に13年ぶりの対戦である。

「純粋に楽しかったです。小さい頃、少年野球で対決していた時のことを思い出しましたね」

【次ページ】 まだ松坂からヒットを放っていない。

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