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ケニー・オメガが新日の“横綱”に。
WWEを経ずに目指す「世界一」とは。 

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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photograph byEssei Hara

posted2018/06/13 11:00

ケニー・オメガが新日の“横綱”に。WWEを経ずに目指す「世界一」とは。<Number Web> photograph by Essei Hara

絶対王者オカダ・カズチカからIWGPを奪い取ったケニー・オメガ。新日本のエースとして世界に羽ばたく。

「時間無制限3本勝負」での完全決着。

 3度目の闘いは、そのわずか2カ月後、「G1クライマックス」Bブロック公式戦の最終戦で実現。リベンジに燃えるケニーは、リーグ戦でケガが悪化したオカダの首を容赦なく攻め、最後は必殺の“片翼の天使”を決めて、3カウントを奪取。オカダから念願の初勝利を挙げた。

 こうして一連のオカダとの闘いで、自らがベストであることを証明していったケニー。残すは、IWGPヘビー級王者という称号のみとなった。

 そして迎えた、6.9大阪城ホールでの4度目の対戦。その試合形式は、IWGPタイトル戦では史上初の「時間無制限3本勝負」という、完全決着ルールに決定した。

「3本勝負」とは、先に2回勝利した方が勝ちという試合形式だ。1年前、60分でも決着がつかなかった両者が、3本勝負となったら、いったいどれだけ闘い続けることになるのか? カード発表の時点から、そんな恐怖にも似た感情が、期待感とともにファンの心を支配する。

3試合の激戦の末、IWGP王者に。

 その一方で、「時間無制限3本勝負」だからこそ仕掛けが早くなり、意外に短めの時間で決着がつくのではないか、という意見も少なくなかった。事実、かつて行われていた3本勝負では、2本目、3本目の試合は、10分に満たない試合タイムで決着がつくことが多かったのだ。

 ところがケニーとオカダは、そんな“3本勝負の常識”も覆す。その闘いぶりは、過去3試合と同様に激しく厳しいもの。つまり、まるでタイトルマッチを連続して3試合やるかのような驚愕の闘いを見せたのだ。

 1本目は28分47秒、オカダがケニーのレインメーカー返しの丸め込みを押しつぶす形で3カウントを奪い先取。2本目は累計47分57秒、片翼の天使を決めたケニーが奪い返す。そして決勝3本目、両者死力を尽くした攻防の末、ケニーがVトリガーから再び片翼の天使を決めてピンフォール勝ち。オカダの防衛V13を阻止し、第66代IWGPヘビー級王者に輝いた。

【次ページ】 高田延彦以来のジュニア&ヘビー制覇。

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