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苦難を乗り越え達成したW杯21勝。
野口啓代が強くあり続ける理由とは。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2018/06/09 08:00

苦難を乗り越え達成したW杯21勝。野口啓代が強くあり続ける理由とは。<Number Web> photograph by AFLO

男女通じてボルダリングW杯の通算勝利数記録は30勝。野口啓代は世界記録を越えられるか?

「東京オリンピックに向け」と明言。

 ベテランの域に差し掛かったにもかかわらず、今もなお伸び続けているのは、クライミングがフィジカル面の要素のみならず、課題への洞察力、経験の蓄積、そして野口が言う「自分をコントロールできるメンタル」など、さまざまな要素を複合的に求められる競技であることも大きいだろう。

 今回の優勝は、野口がそれらを兼ね備えたトップクライマーであることをも証明した。

 そんな野口の原動力となっているのは、2020年の東京五輪だ。

 一昨年、スポーツクライミングの採用が決まったあとは、「プレッシャーを感じたり、もうちょっとマイペースにやれる方が楽しかったなと思ったこともありました」と言うように、第一人者ならではの重圧もあった。今では明確に競技人生における目標と捉えられている。

 だから、八王子での優勝の喜びをこう表す。

「東京オリンピックに向け、自国開催で勝つ経験を積みたかったです」

 ワールドカップで通算21勝を果たし、歴代最多の22勝の更新も目前となった今、2年後への視線に一切の曇りはない。

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