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スポーツ界への投資ブーム第2波。
楽天、SB、DeNAの頃と何が違う? 

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並木裕太

並木裕太Yuta Namiki

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posted2018/06/06 11:00

スポーツ界への投資ブーム第2波。楽天、SB、DeNAの頃と何が違う?<Number Web> photograph by Getty Images

湘南ベルマーレはRIZAPの傘下に入り、より積極的な補強が可能になった。企業にとって魅力的なチーム、リーグであることも重要だ。

欧州では人工芝を導入するところも。

 検討すべき課題はたくさんあります。たとえば「芝」の問題です。

 Jリーグは発足以来、天然芝での公式戦開催を大方針としてきました。緑が美しく、憧れの対象であり、ケガの防止にも役立つ天然芝が魅力的な舞台装置であることは言うまでもありません。

 一方で、ビジネスという視点に立つならば、天然芝以外も検討可能という選択肢を用意することも考えてよいのではないでしょうか。例えば人工芝は、ライブなどで重い機材や多くの観客に踏まれてもダメージからの回復が早く、競技での使用に対する影響が小さいとされています。

 より収益力のあるスタジアムとするためには、人工芝の採用も検討可能にすることで選択肢が広がることになります。

 2015年の女子W杯は人工芝のスタジアムで開催されました(もちろん、なぜ女子だけ人工芝なんだと問題提起する意見もありました)。ヨーロッパでも一部のサッカースタジアムでは人工芝化が進んでいます。

 また技術開発の進展によって、天然芝の魅力と人工芝の特長を併せ持った芝も出てきています。スタジアムビジネス、ひいては各クラブのビジネスの成長をより加速させるために、Jリーグは芝の選択の幅を広げることについて検討するのもおもしろいと考えています。

スポーツ産業を3倍にする、という目標。

 いま、第2波とも呼ぶべき動きが表面化してきた背景には、スポーツ産業に対する国の姿勢も影響していると見るべきでしょう。政府は、スポーツ産業の市場規模を5.5兆円(2012年)から15兆円(2025年)に拡大する目標を掲げており、産業活性化のためにさまざまな施策を練っています。

 そこで重要なのは、「市場の拡大に成功してきた欧米のスポーツ界にあって、日本にはないものとは何なのか」という視点です。たとえば、欧米で行われているスポーツベッティング(賭け)は市場規模が非常に大きいですし、空想のチームをつくって対戦相手に勝つことで賞金を得るファンタジースポーツも人気があります。

 日本では解禁されていないこれらの事業に道が開かれる可能性は今後十分にあるでしょう。

 国は15兆円という目標を達成するために、スポーツ産業に関する規制緩和などを推し進め、それにより新たなビジネスの可能性は大きく広がることになる――。

 慧眼の経営者たちは、そこをも見据えてスポーツ界の秘められた可能性に目を向けているのかもしれません。

(構成:日比野恭三)

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