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スポーツ界への投資ブーム第2波。
楽天、SB、DeNAの頃と何が違う? 

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並木裕太

並木裕太Yuta Namiki

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posted2018/06/06 11:00

スポーツ界への投資ブーム第2波。楽天、SB、DeNAの頃と何が違う?<Number Web> photograph by Getty Images

湘南ベルマーレはRIZAPの傘下に入り、より積極的な補強が可能になった。企業にとって魅力的なチーム、リーグであることも重要だ。

収益の明暗を握るのは、自前のスタジアム。

 彼らは、実際にプロスポーツチームの経営をしてみて、そこで初めてわかったこともたくさんあったはずです。特に、各球団の動向からは、スタジアムの重要性に気づきを得たことが察せられます。

 初年度に黒字を達成したイーグルスは、新規参入に際して、約30億円で県営宮城球場を改修、新設した設備をすべて県に寄付する見返りとして10年間の管理許可を得ています。年間約5000万円の使用料がかかるとはいえ、かなりの低コストで自前の球場を持つのと変わらない条件を手に入れることができました。

 ソフトバンクは2012年、年間48億円もの使用料を支払っていた福岡ドームを870億円で買収しています。DeNAも横浜スタジアムへのTOB(株式公開買い付け)を2016年に成立させ、球団と球場の一体経営に乗り出しました。

 スタジアムを保有する(または管理運営権を得る)ことさえできれば、赤字が当たり前と言われてきた球団経営も大きな黒字を生み出しうる。これが球界参入を果たした経営者たちの共通する思いだったわけです。

 現在では、かつての広告塔という役割から、それなりにリターンを見込める事業へと、球団の位置づけは変わってきています。

Jリーグに資金が流れるようになった理由は?

 第1波の時代、経営者たちがサッカー界にまったく目を向けていなかったわけではありません。

 楽天の三木谷浩史氏はすでにヴィッセル神戸を保有していましたし、ソフトバンクの孫正義氏も九州に本拠地を置くJリーグクラブの買収に関心を示していたと聞きます。

 またDeNAの当時の経営陣も、アジアチャンピオン経験のあるクラブの買収をベイスターズと並ぶ選択肢として検討していた節があります。

 ただし、それらが実現に至らなかったのは、やはりプロ野球と比べると、企業名がチームに使えず試合数や興行規模も小さいJリーグは投資対効果が小さい、と判断されたからにほかなりません。

 ところが2018年現在、新興企業によるスポーツ参入の第2波の舞台となっているのはサッカー界です。第1波が起こった10年以上前から、いったい何が変わったというのでしょうか。

【次ページ】 広告効果よりも大きなスポーツの引力。

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