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川端慎吾、頭部死球からの復活へ。
一軍復帰がヤクルト逆襲の時に。
 

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浜本卓也(日刊スポーツ)

浜本卓也(日刊スポーツ)Takuya Hamamoto

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photograph byKyodo News

posted2018/06/03 07:00

川端慎吾、頭部死球からの復活へ。一軍復帰がヤクルト逆襲の時に。<Number Web> photograph by Kyodo News

バッティングセンスは日本球界で屈指とも評される川端慎吾。試合勘を取り戻し、ヤクルト打線に厚みを加えられるか。

頭部死球の影響はないと言い切る。

 1年間も試合に出なかったブランクは、想像を超えていた。春季キャンプで実戦に入ると、コンディションが整わない状況に見舞われた。寝返りをうつだけで痛みを感じ、痛みで夜中に目が覚めたこともあった。それでも開幕戦に向け、ピークを整えていった。

 頭部死球のアクシデントに見舞われたのはその直後で、タイミングを同じくしてバットから快音が少なくなった。それでも、川端は「どうなんですかね」と頭部死球の影響はないと言い切る。不振の原因を、外的要素のせいにすれば楽だっただろう。だが川端は逃げずに現実を直視し、自己に原因追究の目を向けた。

杉村コーチとともに打撃を見つめ直す。

 導き出した結論は「コンディション」と「試合勘」だった。川端の高い打撃技術は、「カット打法」に代表される。たとえ追い込まれても、厳しいボールは体に近いポイントぎりぎりまで引きつけて見極め、ストライクかボールか、際どい球ならば左方向へのファウルにする。そうして投手の失投と根負けを誘い、安打を重ねる。

 だが、今季の川端は、空振りをする機会が目立っていた。ここまでの15三振のうち、空振り三振は8つと半数を超えていた。加えて、開幕から腰の状態も決して万全とはいえなかった。今回の二軍降格は腰を中心とした体のケアと、状態のいい中で十分な練習量と打席数を確保し、試合勘を取り戻すのが狙いだった。

 二軍に行くと、勝手知ったる“名伯楽”もいた。ソフトバンク内川らを指導した杉村繁打撃巡回コーチが、二軍を指導している時期と重なった。杉村コーチとともに、じっくりと打撃を見つめ直す時間を得た。一軍にいてもチームに貢献できずにもがいていた苦しみと自責の念も和らぎ、「万全にして一軍に戻って貢献したい」というモチベーションへと形を変えた。

【次ページ】 コツと技術はそう簡単には忘れない。

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