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過密日程はデメリットだけじゃない。
アルビレックスが得た膨大な経験値。
 

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大中祐二

大中祐二Yuji Onaka

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photograph byGetty Images

posted2018/06/03 09:00

過密日程はデメリットだけじゃない。アルビレックスが得た膨大な経験値。<Number Web> photograph by Getty Images

1年でのJ1復帰へ向けリーグ戦の順位は順調とは言いがたいが、選手たちの手応えは決して悪くない。

登録28選手全員が公式戦の出場を経験。

 1試合、まるまる使い切ったというのは、グループステージ第5節・FC東京戦でのFW矢野貴章と、MF高木善朗のことだろう。4連敗を何とか止めて、リーグでも再び勝ち点を積み上げ始めていた5月の連戦中。

 当時の2人は途中出場で流れを変え、重要なゴールにも絡んでいた。彼らを温存しないと決めたFC東京戦は、今シーズン初めて公式戦で逆転勝利を収めた。負ければグループステージ敗退が決まるところだったが、最終節までプレーオフ進出の可能性をつなぐことができた。

 最終節の横浜FM戦で新潟のゴールを守ったのは、今シーズン、横浜FMから完全移籍で加入したGK田口潤人だった。試合前々日のトレーニングで、先発予定だった大谷幸輝が首を痛めたことで、急きょ出番が回ってきた。

「相手がマリノスであるという以前に、新潟の突破が懸かった試合でピッチに立てる幸せを噛みしめながらプレーしたい」という田口にとっては、新潟デビュー戦。試合は1-2で敗れたが、下部組織から自身を育ててくれた古巣相手に、いくつも気迫のセーブを披露した。

 田口の出場によって、いまだチームに合流していないFWホニを除くトップチームの登録28選手すべてが、シーズン3分の1の時点で公式戦に出場を果たした。この経験値は、ルヴァンカップ抜きには得がたかったはずだ。

若手の成長もカップ戦のおかげ。

 そして、ルヴァンカップをきっかけにリーグのレギュラー争いに大卒ルーキーの戸嶋、渡邉新太が食い込むなど、若い力も伸びてきた。とりわけ渡邉新は、リーグ戦16節終了時点でチーム最多の5ゴールと成長著しい。

 2勝1分け3敗でグループステージ敗退となったルヴァンカップ。その収穫として、鈴木監督は次の点を挙げる。

「選手たちがミスを恐れず、積極的に、アクションサッカーとハードワークをやってくれました。ゲームの内容、結果もそうですが、それ以上に“アルビレックスはハードワークが必要なんだ”というのをチームで共有できたのは、とてもありがたいことです」

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